1993 Fiscal Year Annual Research Report
プラナリア神経系の分子組織学的構成と再過程における再編成
Project/Area Number |
05680645
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 憲二 姫路工業大学, 理学部, 教授 (00079691)
|
Keywords | プラナリア / 視覚系 / 中枢神経系 / FMRFアミド / オキシトシン / ソマトスタチン |
Research Abstract |
プラナリアは、切断によって生じた小片から1個体を再生することができる動物であり、脳を含めた中枢神経の基本構造の再編成過程を容易に調べることができる。視覚系、中枢神経の構造および形成過程を、再生を利用して検討した。 プラナリアの眼の視細胞の2本の突起は1本は光受容を坦う感桿も備え、もう1本は脳へ投射する視神経となる。視細胞全域を認識する単クローン性抗体(抗体VC-1抗体)を用い、眼の形成機構を調べた。視細胞の感桿と細胞体の間を切断すると、視細胞は退化した。眼のいま1つの構成細胞である色素細胞は維持されたが、色素細胞の存在によって幹細胞からの視細胞分化が促進されることはなかった。一方で、視神経の切断は視細胞の生存に影響せず、2日後には視神経を再生した。 プラナリアのカゴ状神経系では左右の腹側神経束が前端で融合し、脳を形成している。神経系の形態観察に適したマーカーを捜すために、32種類のニューロペプチド抗体を用い、免疫染色を行なった。神経細胞や神経線維を認識した抗体は、somatostatin,oxytocinそしてFMRFamideに対する抗体であった。抗oxytocin抗体は脳の少数の神経細胞と反応し、視神経の分布領域と一致する細胞群が注目された。抗FMRF抗体は神経系の大多数の細胞、線維に反応し、神経系全般の観察に適していた。 プラナリアの前半部を左右に切断し作製した2頭個体の2つの中枢神経系の関係を抗VC-1抗体と抗FMRFamide抗体を用いて調べた。双頭個体の再生時に眼の形成が頻繁に抑制されるにも関わらず、両脳ともに視神経投射領域が正常と変わらず形成されていた。抗FMRFamide抗体を用い、両脳間の連結様式を調べたところ、連結のあるものとないものが約半数ずつであった。連結のある場合でも、片方の再生脳が連結部で急速に小さくなっていた。再生脳の間での抑制作用、再生後の脳の機能分離の結果であると考えられた。
|
Research Products
(1 results)