1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05680706
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
青木 清 上智大学, 理工学部, 教授 (70101029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 俊也 上智大学, 理工学部, 助手 (40190459)
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Keywords | フィンチ類 / 歌 / HVc核 / Undirect Song / シラブル / RA核 / Direct Song / テストステロン |
Research Abstract |
フィンチ類(キンカチョウ、ジュウシマツ)の繁殖行動における歌は、本能と学習に関する脳の神経回路機構を解析する上でよい課題である。本研究は、1.歌の発声系中枢神経核の各核の回路と、歌の構成に関する神経核の役割を明らかにすること、2.発声系中枢神経核の発達に伴って発現する歌行動と、ホルモン制御の関係を明らかにすることを目的とする。1.ジュウシマツの成鳥の雄を材料として、歌の発声系中枢神経核で最高次にあるHVc核を興奮性神経毒カイニン酸の微量圧注入によって化学的に破壊した。この破壊と併せて、破壊前後に歌を記録し、歌の構造の仕組みを解析した。片側脳半球のHVc核の破壊前後でundirect song(間接歌)を調べてみると、シラブルの順序は破壊後に変動を生ずるが、シラブルそのものは回復し、新しい順序の歌をうたった。これによって、HVc核はシラブルの順序を決める役割をしていることが予測できた。さらに片側脳のHVc核の破壊と同時にRA核を破壊すると、片側脳は正常であっても、歌のシラブルも順序も破壊前と異なり、歌の構造を失った。術後3週間経っても歌としての構成は回復せず、単純なノート的リズムの繰り返しであった。片側RA核の破壊はシラブルと、その順序の変化をもたらしてしまい、片側の発声系HVc核・RA核が正常でも歌に関する機能を失うことが解った。発声系中枢のRA核にはHVc核からの直接の回路と、X核、LMAN核、DLM核を介した間接の回路がある。おそらく間接回路の制御が働かなくなることが、歌の再構築に影響を与えるのではないかと予測される。2.ジュウシマツ雄の成鳥の歌行動には、雌に対して直接示すdirect song(直接歌/DS)、雌が見えなくとも繁殖時に歌うundirect song(間接歌/UDS)がある。テストステロンを体外から与えて、血中濃度を上昇させるとDSを生み出しUDSには影響を与えなかった。DSとUDSの歌の構造を解析し、ホルモン制御と歌の構造の関係を明らかにした。
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