1994 Fiscal Year Annual Research Report
延髄呼吸性ニューロンのパッチクランプ法によるイオンチャネル解析
Project/Area Number |
05680707
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鬼丸 洋 昭和大学, 医学部, 講師 (30177258)
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Keywords | 呼吸中枢 / リズム形成 / 摘出脳幹-脊髄標本 / Ca チャネル / 呼吸性ニューロン / 新生ラット / 延髄 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ほ乳動物延髄呼吸性ニューロンにおける膜のイオンチャネルをパッチクランプ法を用いて解析することであった.このため,新生ラット摘出脳幹-脊髄標本を用いて,呼吸リズム形成に重要であると考えられる吸息先行型(Pre-I)ニューロン,吸息性(Insp)ニューロン及び持続的呼息性(Exp)ニューロンの,特にCaチャネルを中心に解析した.これらの呼吸性ニューロンは,延髄吻側腹外側部において記録された.TTXによるNaチャネルのブロック及びCs^+,TEA^+によるKチャネルのブロック下で,少なくとも4種類のCa^<2+>依存膜電位応答が明らかにされた:1)高閾値Ca^<2+>スパイク(HTS);閾値が-40〜-20mVであり,解析を行なったすべてのニューロンで観察された.2)低閾値Ca^<2+>スパイク(LTS)を含むリバウンド応答;とくにLTS(-50mV以下の保持電位で過分極電流パルス終了時に発生する脱分極応答)は,標準灌流液またはTTX存在下で,持続的発火(トーニックペースメーカ)活動を示す傾向のある,Pre-I,Insp,Expニューロンにおいて多く見られた.3)低閾値Ca^<2+>後脱分極(L-ADP);-50mV以下の保持電位で発生し,その大きさは膜電位が深くなるほど大きくなった.これは,少数のInspニューロンにおいて観察された.4)中間閾値Ca^<2+>プラトー電位(ITP);閾値が-50〜-40mVにあり,静止電位(約-50mV)付近からのわずかの脱分極で誘発される緩徐脱分極応答及び,脱分極性電流パルスの終了時に見られる後脱分極によって特徴付けられた.後脱分極の大きさは,保持電位を深くすると小さくなった.これは約半数のPre-Iニューロン及びタイプIII Inspニューロン(Pre-Iから抑制性入力を受けるもの)において観察された.またITP発生に,Pタイプ(そしておそらくNタイプ)Caチャネルが関与することが示唆された.これらのCa^<2+>依存性膜電位応答の呼吸リズム形成における役割に関しては,LTSがトーニックペースメーカ活動の発生に関わるのに対し,ITPは呼吸性ニューロンのバーストの発生と維持に重要であると考えられた.
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[Publications] Onimaru,H.,Kashiwagi,M.,Arata,A and Homma,I.: "Possible mutual excitatory couplings between inspiratory neurons in caudal ventrolateral medulla of brainstem-spinal cord preparation isolated from newborn rat." Neuroscience Letters. 150. 203-206 (1993)
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[Publications] 鬼丸 洋: "新生ラット摘出脳幹-脊髄標本におけるパッチクランプ法の適用" 日本生理学雑誌. 56. 369-380 (1994)
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[Publications] Onimaru,H.: "Studies of the respiratory center using isolated brainstem-spinal cord preparations." Neuroscience Research. 21. 183-190 (1995)