1993 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性侏儒症ラット(rdw)の疾患モデル動物としての有用性とその病因解析
Project/Area Number |
05680740
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
古舘 専一 北里大学, 医学部, 講師 (80095512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 健 北里大学, 医学部, 教授 (90072884)
大山 宜秀 北里大学, 医学部, 講師 (00104547)
小野 雅夫 北里大学, 医学部, 講師 (40050645)
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Keywords | 遺伝性侏儒症ラット / rdw / GH / ペロラクチン / Pit-1 / 甲状腺 / TSH / FRTL-S細胞 |
Research Abstract |
これまでの研究から、rdwの下垂体では、GH,プロラクチン(PRL)のmRNAの発現量が著明に減少し、それらホルモンの下垂体における産生も低下し、その結果として血中のGH,PRL濃度が低値を示すことが明らかにされてきた。GH,PRLの発現に関与して、侏儒症の原因遺伝子と考えられている下垂体特異的転写因子Pit-1のmRNAについて調べた。rdwではサイズ、発現量とも正常対照と同じで、正常なPit-1のmRNAが発現していることが明らかにされてきた。 Pit-1のmRNAから蛋白産生に至る過程に異常があるか否かについて調べた。その成績はPit-1のmRNAの塩基配列が正常と同じであった。また、抗体を作製して蛋白の性状を調べたところ、正常であった。このような結果から、rdwの病因が下垂体以外に存在することが示唆された(J.Endocrinol.投稿中)。rdwの下垂体-甲状腺系に関して、TSHの下垂体含量が対照と顕著な差がみられないが、血中では約10倍の濃度に亢進していた。反面、甲状腺ホルモンは極めて低値を示した。従つて、このTSHの生物活性が問題となる。そこで、TSHのBioactivityについてFRTL-5細胞を用いて検討した。rdwの血清ではcAMPの産生が、RIAで測定したimmunoreactivityと相関をする成績が得られた。従って、rdwのTSHは生物活性を持つと推察された。rdwでは正常なTSHが分泌されているにもかかわらず甲状腺ホルモンが正常に分泌されないと結論された(平成6年度日本内分泌学会発表)。そこで、甲状腺ホルモンの補充(甲状腺粉末添加飼料)がrdwの成長・発育に及ぼす影響を検討したところ、著明な成長・発育の回復がみられた。以上から、rdwの侏儒症の原因は甲状腺に存在することが強く示唆された(平成6年度日本実験動物学会発表)。
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[Publications] S.Shibayama,Y.Ohyama,H.Ono and S.Furudate: "Expression of mRNA cading for pituitary hormones and pituitary-specific transcription factor in the pituitary gland of the rdw rat with hereditary dwartism" Journal of Endocrinology. 138. 307-313 (1993)