1994 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性侏儒症ラット(rdw)の疾患モデル動物としての有用性とその病因解析
Project/Area Number |
05680740
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Research Institution | Kitasato University School of Medicine |
Principal Investigator |
古館 専一 北里大学, 医学部, 講師 (80095512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 健 北里大学, 医学部, 教授 (90072884)
大山 宜秀 北里大学, 医学部, 講師 (00104547)
小野 雅夫 北里大学, 医学部, 講師 (40050645)
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Keywords | 侏儒症 / 疾患モデル動物 / 甲状腺機能低下症 / 下垂体特異的転写因子 / GH(成長ホルモン) / プロラクチン(PRL) / 甲状腺ホルモン / ラット |
Research Abstract |
前年度までの成績から、rdwの病因因子は成長ホルモン(GH)、プロラクチン(PRL)の発現に関与し、且つSnell,Ames,Jacksonマウスの侏儒の原因遺伝子と考えられている下垂体特異的転写因子Pit-1でないことが示唆された。本年度は、rdwの侏儒の原因を下垂体のPit-1以外に求めて検討した。rdwでは血中甲状腺刺激ホルモン(TSH)が上昇している反面、血甲状腺ホルモンが極端に欠乏していることから、甲状腺機能低下症の可能性が考えられたので、rdwの甲状腺機能について検討し、次のような成績を得た。 (1)上昇している血中TSHの生物活性をFRTL-5細胞を用いて、そのcAMPの産生量から検討したところ、radioimmunoassayの結果と相応した成績が得られた。このことから、rdwのTSHは生物活性を有することが明らかになった。 (2)rdwを離乳直後(4週齢)から、0.025%の甲状腺末添加飼料の給与で飼育したところ、雌雄ともに有意な体重の増加がみられた。 (3)離乳後種々の時期(5〜8週齢)に甲状腺移植を施行したところ、いずれの時期の甲状腺移植によっても、有意な体重増加がみられた。 (4)甲状腺移植rdwの下垂体のGH,PRLのmRNAの発現は正常ラットと同様なレベルにまで回復した。また、下垂体および血中のGH,PRL濃度も対照の正常ラットとほぼ同じになった。 (5)甲状腺移植雄rdwをヘテロ雌(rdw/+)と交配して繁殖能を調べたところ、産仔が得られた。得られた産仔のホモ(rdw/rdw)の比率は約50%であり、メンデルの法則に一致した成績であった。 以上の成績から、rdwはprimary hypothyroidismで、甲状腺ホルモンの欠乏が下垂体のGH,PRLのmRNAの発現の低下をもたらして侏儒症となっているものと結論された。
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