1993 Fiscal Year Annual Research Report
相同組換えを利用したマウス受精卵への巨大遺伝子導入に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05680741
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下田 耕治 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00129470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前島 一淑 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (70051464)
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Keywords | トランスジェニックマウス / 相同組換え / 導入方法 |
Research Abstract |
外来遺伝子を直接マウス受精卵前核に微量注入して作製されるトランスジェニックマウスは,導入遺伝子の発現調節を個体レベルで検索できる極めて有用な研究手段である。導入遺伝子の時間的,空間的および量的な発現制御や,個々の遺伝子間の位置的な相互作用などをマウスで再現するためには,できるだけ長い染色体配列を導入する必要があるが,現在までのところ簡便な巨大遺伝子導入方法は確立されていない。本研究はその基礎的研究として,パピローマウイルスDNAを含み,互いにオーバーラップを有する複数のコンストラクトをマウス受精卵へ導入し,オーバーラップ部位での相同組換えにより長大な遺伝子が再構成されるかどうか検討する。現在までに,ヒトパピローマウイルスが感染性のある粒子を産生しないように,Late領域に挿入突然変異を導入した変異体を作成した。また,オーバーラップ部位としてラットカルモジュリン遺伝子II型のプロモーター領域にレポーター遺伝子として大腸菌のLacZ遺伝子を連結し,そのさらに下流にSV40のスプライシングシグナルとポリAシグナルを含む配列を連結したコンストラクトを作成した。このコンストラクトがマウスに導入されたとき神経細胞および精母細胞特異的に発現することを確認した。現在はマウス受精卵前核中で相同組換えが正確に起こるかどうか検討するため,イヌあるいはヒトパピローマウイルスDNAの片端に,カルモジュリンコンストラクトのLacZ遺伝子を含む5〓上流域を,あるいはLacZ遺伝子を含む3〓下流域をそれぞれ連結したものを作成中である。これらのコンストラクトではオーバーラップ部位がLacZ遺伝子であるため,正確な相同組換えが起こった時のみbeta‐galactosidaseが産生される。さらにヒトあるいは動物のGenomicDNAの導入も計画中である。
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