1993 Fiscal Year Annual Research Report
カーバチルスの培養法確立と菌体の病原因子解明に関する研究
Project/Area Number |
05680745
|
Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
伊藤 豊志雄 (財)実験動物中央研究所, 動物医学研究室, 室長 (20106644)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 弘明 (財)実験動物中央研究所, 動物医学研究室, 研究員 (30250012)
|
Keywords | カーバチルス / 病原因子 / 実験動物 / 培養方法 / 感染病 / マウス / 細菌 |
Research Abstract |
人工培地によるカーバチルス培養方法の改良ならびにカーバチルスの病原因子について検討した。 培養方法の改良では、これまで使用していた培養液の組成を変更することなく、培養器であるプラスチックシャーレのコーティング材(ゲラチンとコラーゲン)を検討した。その理由は、カーバチルスが液体培地によってのみ増殖可能で、その際に培地の容器であるシャーレの底を這うようなかたちで増殖するからである。その結果、ゲラチンの使用で菌の増殖性に若干の改善が認められたものの、コーティング材使用による顕著な増殖効果は認められなかった。近年、米国から発表されたカーバチルスの培養成績もその培養液の組成は我々の組成と類似していた。今後は、多種の組織培養用基礎培地について本菌の増殖性を検討する予定である。 病原因子の検討については人工培地で増殖させたカーバチルスを十分量集めることが困難なため、とりあえず、発育鶏卵で増殖させた菌を用いた。感染漿尿液の遠心洗浄によって菌の燐酸緩衝生理食塩水濃厚浮遊液を作成し、それから生菌、加熱あるいはホルマリン死菌を準備し、それぞれ同数の菌浮遊液をマウスに経鼻投与、肺と鼻腔の病変ならびに血清抗体を調べた。その結果、生菌投与群で投与1および3週後において全例の肺と鼻腔にカーバチルス感染に特有な重度な病変が認められ、3週後には抗体も検出された。死菌投与群では呼吸器病変は全く認められず、抗体も検出されなかった。以上の成績から、病変形成には生菌の関与が必要であることが示された。
|