1994 Fiscal Year Annual Research Report
てんかんのモデル動物スナネズミの発作形成過程に関する研究
Project/Area Number |
05680748
|
Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
大島 章子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 形態学部, 主任研究員 (50142170)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 宗之 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 生理学部, 部長 (80100155)
|
Keywords | スナネズミ / てんかん |
Research Abstract |
てんかんのモデル動物スナネズミの発作には、ヒトにみられるような、年齢依存的な発作形成過程が存在する。われわれは、この発作が遺伝素因に加え、外部刺激の反復により低閾値部位が拡大する、キンドリング様現象で形成されていくのではないかと考えている。今年度は、発作誘因である床換え時の体位変換により発作形成初期に、誘発される耳介のリズミカルな動きと刺激との関係、および遺伝素因の可能性のある物質について調べた。 (1)耳介のリズミカルな動きに関して、耳介の運動を誘発しうる大脳皮質部位の電気生理学的性質を調べた。調べた条件下では、特定の範囲の刺激間隔で最低3発の電気刺激で耳介の運動が誘発されたが、この必要刺激数は、幼若時に外部刺激によって後発射が生じるようになることによって耳介の動きがみられるようになると仮定しても可能な程度に十分小さいと考えられた。 (2)床換え時の体位変換による前庭刺激を受ける前庭装置の解剖学的特徴を調べ、その電気刺激のための手術手技を開発した。刺激実験により、スナネズミの大脳皮質にも、前庭刺激により誘発電位を示す前庭皮質が存在すること、その部位は、耳介の運動を誘発しうる部位と位置的に重なり、位置からは、前庭刺激後、後発射が生じることにより、耳介の動きが出現する可能性があることがわかった。(1994年度神経科学学会発表) (3)遺伝素因の可能性のある物質として、実験的なてんかん発作形成に関与しているP70蛋白について調べた結果、抗P70抗体と反応し、P70と等電点と分子量が似た蛋白が、神経細胞の主として核、およびゴルジ装置に存在することがわった。(1994年度日本動物学会、日本神経科学学会発表、論文投稿中) これらの結果は、上に述べたわれわれの仮説の妥当性に一歩近づくものと考えられる。この結果をもとに、さらに、検討を続けていく予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Seto-Ohshima,A.,Aoki,E.,Omori, A.,Mizutani,A.,Murashima,M.& Heizmann,C.W.: "Parvalbumin immunoreactivity and cytochrome oxidase activity in the brain of the gerbil." Acta Histochem.Cytochem.27. 309-321 (1994)
-
[Publications] Ito,M.: "Barrel field of the prenatally X-irradiated rat somatosensory cortex:A histochemical and electrophysiological study." J.Comp.Neurol.352. 248-262 (1995)
-
[Publications] Seo-Hiraiwa,M.L,Seto-Ohshima,A.& Kato,K.: "The surface evoked potential and parvalbummin immunoreactivity in the somatosensory cortex of the developing rat." Develop.Psychobiol.(in press).
-
[Publications] Seto-Ohshima,A.: "Review:Calcium-binding proteins in the sentral nervous system." Acta Histochem.Cytochem.27. 93-106 (1994)