1994 Fiscal Year Annual Research Report
弾性線維マトリックスを素材とした人工血管用バイオエラスチック材料に関する基礎研究
Project/Area Number |
05680761
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Research Institution | Kyushu Institute of Technogy |
Principal Investigator |
岡元 孝二 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (40122618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 祐子 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (80203488)
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Keywords | 弾性線維 / エラスチン / 人工血管 / バイオエラスチック材料 / 弾性機能 |
Research Abstract |
本研究は平成5年度及び平成6年度の2年間の研究計画によって構成されている。平成6年度(本年度)は平成5年度(前年度)に作製した人工血管用バイオエラスチック材料である弾性・細胞接着性・抗血栓性ポリペプチドpoly[a(GVGVP),b(GRGDSP)]及びその架橋重合体X-poly[a(GVGVP),b(GRGDSP)]の細胞接着性、細胞増殖性、抗血栓性を検討した。細胞接着性試験及び細胞増殖性試験にはウシ大動脈内皮細胞を用いた。細胞接着性試験では、3時間培養後の接着細胞数をカウントし、フィブロネクチンでコートした基層上の細胞数を100%として計算すると、X-poly[(GVGVP),X-poly[(GVGVP),0.002(GRGDSP)],X-poly[(GVGVP),0.01(GRGDSP)],X-poly[(GVGVP),0.017(GRGDSP)],X-poly[(GVGVP),0.025(GRGDSP)],X-poly[(GVGVP),0.05(GRGDSP)]の各々の基層上の接着細胞数の割合は、それぞれ3.5%,5.2%,49%,102%,103%,106%であった。このことからGVGVP配列のみでは内皮細胞は接着できず、一定量以上のGRGDSP配列が必要であることが示された。ついで接着能を有する架橋重合体を用いて細胞増殖試験を検討した。3日間培養後の増殖細胞数をカウントすると、X-poly[(GVGVP)の基層上の細胞数208個に比べて、X-poly[(GVGVP),0.017(GRGDSP)],X-poly[(GVGVP),0.025(GRGDSP)],X-poly[(GVGVP),0.05(GRGDSP)]の各々の基層上の細胞数は、それぞれ751個,734個,724個,であり、一定量以上のGRDGSP配列の存在下でのみの細胞増殖が認められた。ヒト血小板を用いた抗血栓性試験でも、GVGVP配列のみには血小板凝集阻害作用はみられないが、一定量以上のGRDGSP配列の存在下では血小板凝集の完全阻害が認められた。以上のことから、材料の弾性試験は検討していないが、このバイオエラスチック材料は人工血管用材料として有用である可能性が示唆された。
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[Publications] 杉尾正則: "Cocervation properties of chemically modified elastin peptides as new functionality boimaterials" Peptide Chemistry 1994. (印刷中). (1995)
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[Publications] 近藤道男: "Hydrogen-bond detection in peptides by ^1H-Nuclear magnetic resonance through a hydrogen-chloride exchange reaction" Bull. Chem. Soc. Jpn. 67. 1064-1068 (1994)
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[Publications] 岡元孝二: "Role of copper ion on self-assembly of elastin peptides" Peptide Chemistry 1993. 297-300 (1994)
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[Publications] 神里早月: "Effect of elastin peptides on macrophage activation and chemotaxis" Peptide Chemistry 1993. 273-276 (1994)
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[Publications] 岡元孝二: "血管壁代謝:細胞外マトリックス" 現代医療. 26. 183-188 (1994)
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[Publications] 岡元孝二: "新タンパク質応用工学(籏野昌弘 監修)" フジ・テクノシステム(印刷中),