1994 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖の細胞認識能を利用した制癌剤の選択的配送システムの開発
Project/Area Number |
05680767
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Research Institution | KANSAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大内 辰郎 関西大学, 工学部, 教授 (60067650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 裕一 関西大学, 工学部, 助手 (10213886)
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Keywords | 糖鎖 / 細胞認識能 / 高分子プロドラッグ / キャリヤ- / 生体内分解吸収性高分子 / 制癌剤 / ペプチドスペーサー / リソソーム酵素 |
Research Abstract |
平成5年度に合成された糖鎖と制癌剤アドリアマイシン(ADR)とを同時に担持した高分子コンジュゲート、および多糖にADRを担持したコンジュゲートからの薬物放出挙動を調べ、更にそれらの制癌活性を評価することにより、高分子プロドラッグという手法による糖鎖の細胞認識能を利用した制癌剤の選択的デリバリー・システムについての基礎的研究を行なった。 1)各種高分子プロドラッグの水溶液中でのでの分子形態・会合状態を光散乱法および蛍光法により解析したが、他の報告にあるような分子集合体などの形成は認められなかった。 2)非酵素的、酵素的条件下での高分子プロドラッグからの薬物放出挙動をHPLC法で解析した。特にオリゴペプチドスペーサーを介してADRを担持したCM-キチン/ADR・コンジュゲートにおいては、リソソーム酵素存在下でのみ薬物の効果的な放出が確認され、特定の酵素に応答した薬物放出が可能であることが示唆された。また、薬物結合様式をアミド、エステル、シッフ塩基結合と変化させることで、pH感受型のリリースパターンが得られることが分かった。 3)糖鎖を有する高分子プロドラッグの種々の腫瘍細胞に対する細胞毒性をin vitroで検討したところ、ガラクトースを有するポリリンゴ酸/ADR/ガラクトース・コンジュゲートおよびPEG/ADR/ガラクトース・コンジュゲートでは、ガラクトースレセプターを有するヒト肝癌細胞HLEに対する選択的な細胞障害活性が発現することが確認され、糖鎖認識を介した選択的な取り込みが起こっていることが示唆された。 4)合成した各種高分子プロドラッグのin vivoでの制癌活性については、マウスを使用した動物実験の系で現在検討を行っているところである。
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[Publications] 大矢裕一: "Release Behavior of 5-Fluorouracil from Chitosan-Gel Microspheres Immobilizing 5-Fluorouracil Coated with Polysaccharides and Their Cell Specific Cytotoxicit" J.Macromol.Sci.-Pure Appl.Chem.A31. 629-642 (1994)
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[Publications] 大矢裕一: "Synthesis of CM-Chitin Immobilizing Doxorubicins through Tetrapeptide Spacer Groups and Its Enzymatic Release Behavior of Doxorubicin in Vitro" Macromol.Chem.Phys.195. 2839-2853 (1994)
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[Publications] 大内辰郎(分筆): "ACS Symposium Series.545" Am.Chem.Soc., 246 (1994)
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[Publications] 大内辰郎(分筆): "Biotechnology and Bioactive polymers" Plenum Press, 342 (1994)
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[Publications] 大内辰郎(分筆): "Neoglycoconjugates:Preparation and Application" Academic Press, 549 (1994)