1993 Fiscal Year Annual Research Report
則天武后期の仏像様式に関する研究-初唐様式から盛唐様式への展開-
Project/Area Number |
05710033
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 健 東京国立文化財研究所, 美術部, 研究員 (40194352)
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Keywords | 中国仏教彫刻 / 初唐様式 / 盛唐様式 / 龍門石窟 / 則天武后 |
Research Abstract |
本年度は、中国・則天武后期(680年代〜約20年間)の仏教彫刻作品についての基礎資料の収集に着手し、下記の成果を収めた。なお、当初の研究計画ではその調査活動の地域を日本国内としていたが、途中1回の中国出張、および2回の米国出張の機会を利用して、国外所在の実作例、写真・文献資料の収集にもつとめた。 1 写真資料の収集 中国仏教彫刻に関する写真資料は日本所在作例約150カット、欧米所在作例約1,000カット、中国所在作例約500カットを実写と複写の焼付け写真として収集し、カード化した。ただしこれらのうち則天武后期に直接該当する作例は10分の1程度で、他はその前後の時代の展開を考える上で有用な参考資料と位置づけられる。 2 作品調査 予定していた各地域のうち、大阪市立美術館、京都国立博物館、東寺(京都)での調査を実施した。また大原美術館(岡山)、東京芸術大学、書道博物館、根津美術館(以上東京)の調査を実施した。 また海外出張中の時間を利用して、北京故宮博物院、河南省博物館、鄭州市博物館、洛陽市博物館、洛陽龍門石窟(以上中国)、サンフランシスコ・アジア美術館、ロサンゼルス郡立美術館、ニューヨーク・メトロポリタン美術館、クリーヴランド美術館、ペンシルヴェニア大学美術館、フィラデルフィア美術館、ボストン美術館、ハーバード大学サックラ-美術館(以上米国)での調査を実施した。 3 今後の課題と予定 今回の調査により、海外所在の則天武后期の作例は量的にはそれほど多くなく、若干の例外を除いて質的にも重要なものが少ないことがほぼわかった。いっぽう中国本土では、洛陽を中心とする河南地域の重要な作例について資料を収集することができたのに対して、西安(長安)の陝西地域については十分な調査が行えなかった。平成6年度以降もさらに研究を継続し陝西地域についての資料を収集した上で(具体的には現地調査および東京国立博物館等国内機関での調査)、地域性の問題を考慮しながら検討を加える予定である。
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