1993 Fiscal Year Annual Research Report
規範的行動模型を基盤とするオペラント行動記述予測システムの構築
Project/Area Number |
05710037
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 雅治 北海道大学, 文学部, 助手 (80183060)
|
Keywords | オペラント / 選択行動 / 刺激変化 / セルフコントロール / 弁別 / 強化 / サル / 学習 |
Research Abstract |
本研究では、今回購入されたパソコン一式を用いて、有限オートマトンを基盤とする課題構造の分析が行われ、さらに、サルおよびヒトのオペラント行動の変容過程に関する実験的研究が行われた。これらの実験の目的は、1.課題構造の規定要因のひとつである「状態推移に伴う刺激変化」がサルの選択行動に及ぼす効果の分析、2.課題構造の規定要因である弁別課題の「即時性」と「持続性」がサルの観察反応の変容に及ぼす効果の分析、および、3.課題構造の規定要因である「強化の正負」がヒトのセルフコントロールに及ぼす効果の分析であった。これらの内の1と2は昨年度の科研から引き継がれた実験であり、3は本年度に開始された実験であった。これらの実験では、従来の学習実験とは異なり、様々なソフトウエアを用いて複雑な視覚的・聴覚的刺激が提示された。実験の結果、それらの課題構造の規定要因は、サルやヒトの行動変容に大きな効果を及ぼすことが示された。特に、誌激変化がもたらす情報がサルの選択行動に大きな影響を及ぼすというデータ(1の実験)、および、弁別課題の即時性と持続性の変化により従来の知見とは全く異なった観察反応の変容が見いだされるというデータ(2の実験)はオペラント行動の理論化において非常に重要であるため、国際誌に順次発表された。また、3のデータは現在様々な統計的分析が行われている。以上に加えて、課題中の刺激変化がオペラント行動に及ぼす効果に関する理論的分析も平行して行われ、その一部は現在投稿中である。さらに、課題構造と脳波等の生理的指標との関係を分析する実験の準備、および、これらの知見に基づいてオペラント行動の記述予測システムを構築する試みが現在進行中である。
|
-
[Publications] M.Takahashi: "Psychological distance to reward in monkeys." Behavioural Processes. 30. 299-308 (1993)
-
[Publications] M.Takahashi: "Concurrent schedule Contrd of monkeys observing during vigilance." Behavioural Processes. 32(印刷中). (1994)
-
[Publications] 高橋雅治: "相場覚(編著)「心理学入門」「第8章学習-経験が行動を変える-」" 放送大学教育振興会, 164 (1993)