1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05710063
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
高橋 伸子 中京大学, 文学部, 助手 (20216740)
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Keywords | 運動視 / スリット視 / 窓問題 / 運動統合 |
Research Abstract |
運動する対象の知覚において、局所的な情報がどのようにコード化されるかを調べるために、調整法を用いた視覚実験を行った。運動する刺激パタンとして縞パタン,複合縞パタン,図形パタンを用い、勾配の確率的変化によって面積・幅・枠の形状が異なる窓に刺激パタンの一部を提示した。刺激はすべてCRT上に提示し、刺激パタンの見えの運動方向と見えの傾きを測定した。 矩形波状の勾配をつけた通常の矩形窓と正弦波状の勾配をつけた正弦波窓で結果を比較すると、1.幅が等しい窓では矩形窓の方が正弦波窓よりも刺激パタンの知覚において歪みが少なかった。このことは,局所情報からの運動のコード化においてはまず利用可能な窓の面積が広いことが重要で、面積の効果の方が窓の輪郭によって生じると考えられる妨害効果に優っていたことを示す。2.一方窓の面積が同じ場合には、正弦波窓の方が歪みが少なかった。すなわち、同じ面積では窓の輪郭が直線でなく、より広い範囲からの情報が有利であり、局所情報が不連続であることによる歪みは相対的に小さかった。3.刺激パタンでは、図形パタン・複合縞パタンより縞パタンにおいてこれらの窓の形状による影響が大きかった。 これらの実験結果から、局所的な運動情報のコード化においては特徴点の有無によって局所情報の提示方法に依存した歪みの現れ方が異なり、提示窓の面積が大きく、輪郭の勾配が緩く、窓幅が広い場合に歪みの少ないコード化が行われることが示された。
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