1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05710088
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
今井 芳昭 流通経済大学, 社会学部, 助教授 (20192502)
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Keywords | 社会的勢力 / 影響行動 / 資源 / 影響者 / 被影響者 / 対人関係期間 |
Research Abstract |
本研究の目的は、社会的勢力関係を規定する要因を探ることであった。実験室実験により個人間の資源の分布状態が影響行動に及ぼす効果を検討した。その結果、必要な情報を獲得するための手段となる資源に関して集団内に差がない場合に、相手の応諾率が高かったことが見出された。実験は、4人(A、J、Q、Y)1組で行った(分析対象:n=176)。被験者に与えられた課題は、相互に異なる各人の手がかりを基に、他者よりも多くの解答を連想すること(連想ゲーム)であった。被験者のもつ資源量は、連想するための手がかりの数、および、1個10円で換算されるクリップの数で操作された。A以外の3人は、手がかり1つ、クリップ30個を与えられた。資源の分布差を操作するために、2(手がかり:Aのみ2個、Aのみ0個)×2(クリップ:Aのみ60個、Aも30個)の4条件を設定した。被験者は12試行において、筆談で他者と手がかりの授受を交渉することが許されていた。本実験では、他者に手がかりを教えてくれるよう依頼することを「影響を与える」と操作的に定義した。Aの残り3人に対する「影響」が成功した比率は、クリップの数が4人とも等しく、Aの手がかりが多い場合に、高かった。J、Q、Yの3人も、同じ条件のときに、Aから手がかりを教えてもらえる比率が最も高かった。 さらに、大学生の友人関係を対象にして、質問紙調査を行い(n=308)、友人関係の長さと影響行動数とが正に関連していることが認められた。具体的には、友人が罰勢力、正当勢力、専門勢力を保持していると認識し、友人と会う頻度が多いほど、回答者はその友人からふだん「影響を受けている」と認知していた。また、友人が報賞勢力、罰勢力、魅力勢力を保持していると認知し、友人期間が長く、回答者の勢力動機が大きいほど、回答者はその友人にふだん「影響を及ぼしている」と認知していた。
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