1993 Fiscal Year Annual Research Report
態度変化を媒介する情報の分析的-発見的処理方略についての研究
Project/Area Number |
05710093
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
北村 英哉 東京家政大学, 文学部, 講師 (70234284)
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Keywords | 社会的態度 / 感情 / 説得的コミュニケーション / 認知過程 / 社会的認知 / 情報処理方略 / プロダクション・システム |
Research Abstract |
1.目的:近年、態度変化が生じるプロセスを情報処理的な観点から解明しようとする動きがあるが、この流れを踏まえて、態度変化を媒介する認知過程について実験的に検討を行う。 2.方法:感情喚起に課題の成功・失敗などのフィードバックを用いると自尊心に影響し他の要因が混入しかねないので、より純粋に感情状態に働きかけるものとして音楽を用いた。音楽テープによってポジティブ、ネガティブ感情を喚起する群を設け、その上で説得メッセージをよく読んで精緻化処理を行い、説得的なメッセージとそうでないメッセージに対して弁別的処理を行う基盤になると予測される「分析的処理方略」の効果の検討を目指した。具体的には、被験者にコンピュータ・プログラムによって、論理的.言語的な処理を迫る課題を与えて解答させることで、分析的処理のプロダクションを活性化した。この課題の前と後に、ひとつずつ説得的メッセージ(説得的な強い議論あるいは弱い議論)を読ませ、態度変化量を測定した。 3.結果と考察:分析的プロダクションを活性化する課題を行うと、特に説得的メッセージの弁別的処理が促進されることが明らかになった。また、弱いながらも感情状態の効果、すなわち、ポジティブ群の方が非弁別的な処理を行うという結果を得た。今回の実験では、これまでの知見でネガティブ群が弁別的処理を行うという論理的根拠の不十分さを埋めることに成功し、弁別的処理をもたらす認知プロセスとして、分析的プロダクションの働きが有力である証拠を得、感情と認知過程の結びつきについて知見を加えることができたが、ポジティブ感情下にある場合に作用すると思われるヒューリスティック的(発見的)処理方略については十分検討できなかった。同様のアイデアを用いて実験を重ねれば、より全体的な情報処理方略を描き得る見通しが得られたものと考える。
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