1993 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカの進歩主義諸学校における家庭科カリキュラムの開発と実践に関する研究
Project/Area Number |
05710165
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 園 岡山大学, 教育学部, 講師 (80154061)
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Keywords | 家庭科カリキュラム / アメリカ / 進歩主義諸学校 / リンカーン・スクール |
Research Abstract |
本研究では、わが国の家庭科教育の根本問題となっている「普通教育としての家庭科のあり方」を考えるために、わが国の家庭科の成立に多大な影響を与え、また世界的にみて最も早い時期に普通教育としての家庭科が成立したアメリカの家庭科の成立を取り上げた。その中でも特に、多様な単元学習が開発・実践され、またそれが公立学校プログラムへの家庭科の広範な普及の準備となった、1920年代の進歩主義諸学校のうち、「両対戦間に最も輝かしい業績をあげ」「内外の教育革新に最も影響力の大きかった」と評価され、初等学校のカリキュラムに家庭科的教科(Household Arts)が位置づけられていたコロンビア大学の実験学校リンカーンス・ク-ルに焦点を当て、そこでの家庭科的教科の位置づけおよび単元学習の開発・実践を検討した。 リンカーン・スクールでは、1920年代に実験的研究に基づいたカリキュラム(作業単元)開発が、各教科教材の開発とその社会的価値の調査研究を主流としてなされたが、1923年に初等学校の「Household Arts教材の社会的有用性の調査研究」が実施され、報告書が出版されていた。また、同校で「作業単元」成立の直接的な基礎となった1918-24年の「フィールド・ワーク」の実践では、Household Artsを目的としたものが30回報告されていた。Household Artsの位置づけ・実践を、同校の「作業単元」の総括と一般化の基礎となった1925-26年度のカリキュラムの「単元の標題を指標とした教科区分」からみると、2年2組のカリキュラムに社会科・工作と共にHousehold Artsが位置づき、大単元「食料供給」の小単元「小麦学習」の中で、Household Artsの教師の援助による「小麦展示会」「パン作り」「クッキー作り」「マカロニ作り」の学習が展開されていた。また、4年2組のカリキュラムに「必要に応じて教える教科」としてHousehold Artsが位置づけられていた。
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