1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05740049
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
根上 生也 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (40164652)
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Keywords | グラフ理論 / グラフ / 位相幾何学的グラフ理論 / グラフの埋め込み / 三角形分割 / グラフの多項式 |
Research Abstract |
結び目理論において近年盛んに議論されているJones多項式やKauffman多項式と,グラフの不変量である根上多項式との関連に注目し,状態モデルの概念を応用して,根上多項式よりもグラフの識別力の高い拡大根上多項式を定義することに成功した. しかし,拡大根上多項式は一般に非常に複雑で長い多項式なので,具体的なグラフに対して,それを人力で書き下すことは不可能に近い.そこで,コンピュータ実験により,拡大根上多項式によって10頂点までの木がすべて識別可能であることを示した.さらに,拡大根上多項式から,従来の根上多項式では不可能だった次数列や独立多項式が読み取れることを示し,多くの木がそれによって識別可能であることを理論的にも明らかにした. また,その多項式の計算プログラムに対するグラフの入力データをマウス操作で簡単に作成するためのツールとして,グラフ・エディタを作成した.そのエディタはグラフに対する様々な操作を容易に行えるため,グラフ理論の教育用ソフトウェアとして活用することができるだろう.その可能性を探るのは今後の研究課題である. さらに,上の研究とは独立に,任意の閉曲面に対して,頂点数が十分に大きく等しい2つの三角形分割が対角変形と呼ばれる操作で移り合えることを示した.この事実は球面,トーラス,射影平面,クラインの壺に対して証明されていたが,本研究では,閉曲面を個別に扱わずに一般的な形の命題を証明した.ただし,頂点数が十分に大きいという仮定が必要となる.その頂点数の下限は個々の閉曲面の三角形分割を具体的に調べざるをえないが,これは人力では不可能に近い計算量を必要とする.上の研究で修得したプログラミング技法をさらに発展させ,この問題に応用することは今後の研究課題である.特に,グラフ・エディタを閉曲面上に埋め込まれたグラフも編集可能にすることが期待される.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Seiya Negami: "Projective-planar graphs with even duals II" Contemporary Math.147. 363-379 (1993)
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[Publications] Dan Archdeacon,Seiya Negami: "The construction of self-dual projective polyhedra" J.Combinatorial Theory,Ser.B. 59. 122-131 (1993)
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[Publications] Seiya Negami: "Diagonal flips in triangulations on surfaces" Discrete Math.
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[Publications] Seiya Negami,Kenichi Kawagoe: "Polynomial invariants of graphs with state models" Discrete Applied Math.
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[Publications] Seiya Negami,Atuhiro Nekamoto: "Diagonal transformations of graphs on closed surface" Sci.Rep.Yokohama Nat.Univ.,Sec.I. 40. 71-97 (1993)
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[Publications] 根上 生也: "離散構造" 共立出版, 222 (1993)
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[Publications] 根上 生也: "トポロジカル宇宙" 日本評論社, 197 (1993)