1993 Fiscal Year Annual Research Report
カドミウムテルル結晶における高抵抗化メカニズムの解明
Project/Area Number |
05740210
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
瀬戸 悟 石川工業高等専門学校, 電気工学科, 講師 (50216545)
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Keywords | II-VI族化合物半導体 / フォトルミネッセンス / 自己補償効果 |
Research Abstract |
II-VI族化合物半導体では、低抵抗のp型あるいはn型結晶を得ることも目的として結晶中に不純物を添加しても結晶が高抵抗になる現象、所謂自己補償効果がしばしば観測される。本研究の対象であるカドミウムテルル(CdTe)においてもこの自己補償効果が観測され、CdTeを用いたデバイス作製にとって大きな障害となっている。本研究の目的は、CdTeで観測される自己補償効果の発生メカニズムを電気的特性評価から解明することにあった。具体的には高抵抗結晶の深い準位を調べるうえで有効な方法であるPICTS(Photo-Induced Current Transient Spectroscopy)の自動測定装置を製作し、高抵抗塩素ドープCdTeに応用した。その結果、次のような実験結果が得られた。 1.価電子帯から約120-160[meV]に高抵抗塩素ドープ結晶に特徴的なアクセプタレベルが観測された。 2.上記アクセプタに対応する準位の存在は、光学評価法であるフォトルミネッセンスのドナー・アクセプタ対発光の観測結果とも一致した。 3.このアクセプタはTe過剰組成からの結晶では観測されるが、Cd過剰組成からのn型低抵抗結晶では観測されなかった。 以上の結果から、塩素ドープCdTeの自己補償効果の発生メカニズムは、マイナス2価に帯電したCd空孔[<V2->___<cd>]とプラス1価に帯電した塩素ドナー[Cl^+]との複合欠陥[V_<cd>-Cl]がアクセプタとして作用して塩素ドナーを補償する結果、結晶が高抵抗になることが実験的に明かになった。 尚、本研究で得られた成果の一部は、第6回II-VI族化合物半導体国際会議(1993年,9/13-17,Newport,Rhode Island,USA)で発表した。今後は、III族元素ドープしたCdTe結晶で観測されている自己補償効果について調べる計画である。
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Research Products
(1 results)