1993 Fiscal Year Annual Research Report
U(Pt_<1-x>Aux)_3での超伝導と磁気的性質の研究
Project/Area Number |
05740217
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
廣井 政彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80212174)
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Keywords | 重い電子 / フェルミ液体 |
Research Abstract |
核燃料物質の実験の許可手続きに時間を要したことも関係して当初の計画よりも研究は遅れている。現在までにU(Pt,Au)_3でAu濃度5%までの種々の多結晶試料をアーク溶解の方法で作成し比熱、帯磁率、電機抵抗の測定を行っている。また、Auを含まないサンプルではトリアーク炉を用い単結晶を作製し、純良試料を作る方法を模索している。 多結晶試料の測定では2%から5%までAuを含んだ試料では5k付近に比熱にピークが、また、帯磁率にはピークがあるいは折れ曲がりが観測され、過去の報告を考えあわせるとこれは反強磁性転移と考えられる。 反強磁性転移するサンプルにおいても低温電子比熱係数や帯磁率の値はAuを含まない試料と比べてその絶対値は同じ程度の大きさで、重い電子状態を保っている。また、5%濃度においてもかなりシャープな転移が観測されている。転移は予想以上にシャープであるので、試料のランダムネスの影響は比較的小さいと言える。従って、この試料に関してはさらに定量的な議論が可能と考えられる。今後は低温磁場中の比熱帯磁率の測定により、反強磁性相の性質をあきらかにすることと、Au濃度の低い試料においてこの重い電子状態がフェルミ液体で記述出来る状態にあるのかを調べていきたい。Auの入っていない試料の比熱にあらわれるT^3lnT項の存在と合せて、そのフェルミ液体としての性質の検討が必要と思われる。 一方、単結晶試料の作製には成功し、1.5K以上の比熱帯磁率については文献に報告されているのと同じ程度の値が観測された。今後の課題はアニール等の工夫により、二段に分裂し超伝導転移を持った試料を作ることにある。ただし、この二段転移は試料の問題ではないかという意見もあるのでその点からの検討も必要である。
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