1993 Fiscal Year Annual Research Report
希ガスとの衝突によって拡がった水銀原子の遠翼発光スペクトルの相対速度依存性
Project/Area Number |
05740265
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥西 みさき 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (80224161)
|
Keywords | 遠翼スペクトル / 衝突準分子 / 交差原子線 / 原子間ポテンシャル |
Research Abstract |
希ガスや分子との衝突で拡がった金属原子共鳴線の遠翼スペクトルは、衝突しつつある金属原子-希ガス(分子)衝突準分子の電子状態間の遷移に起因するものであり、これの解析よりその準分子の原子(分子)間ポテンシャルに関する知見が得られる。本研究では水銀原子と希ガス原子を交差原子線中で衝突させ、その交差領域からの発光を分光測定し、原子間ポテンシャルについての情報を得ようとするものである。まずこの研究の第一段階として、セル中での水銀と希ガスや分子混合系での遠翼吸収スペクトル測定用の装置を立ち上げ、水銀と2原子分子(H_2、CO、N_2)との衝突による遠翼吸収スペクトルを測定し、その換算吸収係数の絶対値を決定した。ここで得られる遠翼スペクトルは、この遷移に寄与する衝突準分子の電子励起状態と電子基底状態の間のポテンシャルの差(差分ポテンシャル)と基底状態での準分子のボルツマン分布を反映している。従って、これだけではポテンシャルを決定する事はできない。そこで、これと平行して、現有の交差原子線真空装置(アルカリ金属ビーム用)をパルス交差原子線用に改造し、その交差領域からの発光を測定できるようにした。現在、水銀原子ビームとAr原子ビームの交差領域からの衝突準分子の発光スペクトルの測定を行っている。この真空装置の改造に時間がかかったために、発光スペクトルの測定を始めたばかりであり、まだ遠翼スペクトルの観測までには至っていない。今後は、発光の取り込み効率や原子線中の原子密度を増加させてシグナルを強くする為の装置の改良を行い、発光スペクトルを観測し、先に得られた遠翼吸収スペクトルと組み合わせて、原子間ポテンシャルを行う予定である。
|