1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05740338
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
高田 秀重 東京農工大学, 農学部, 助手 (70187970)
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Keywords | コロイド / 炭化水素 / 河口域 / フロキュレーション / アルキルベンゼン / n-アルカン / 限外ロ過 / 吸着 |
Research Abstract |
1)河川水中における炭化水素類の存在状態の解明 河口域へ流入する炭化水素の存在状態を明らかにする目的で、淡水域の最下流においてステンレス製大型ろ過器を用い孔径の異なるろ紙(GF/C,GF/F)によるろ過と限外ろ過法を組み合わせた観測を行った。対象とした炭化水素類はアルキルベンゼンとn-アルカンである。アルキルベンゼンおよびn-アルカンの約40%がGF/C(孔径1.2mum)以下の画分に、20-30%がGF/F(孔径0.7mum)以下の画分に存在することが明らかになった。限外ろ過の結果孔径0.7mum以下の口液中の炭化水素のうち約40%が10nm以上の画分に、約70%が3nm以上の画分に存在することが明らかになった。これからの事実は、水中の炭化水素の約30%以上が1nm-1.2mumのコロイドに吸着していることを示している。特に、3nm-1.2mumの大きなコロイドが炭化水素の吸着能が大きいことがわかった。 2)河口域における溶存態炭化水素の除去過程の解明 多摩川河口において1993年3月、5月、1994年1月に観測を行った。いずれの観測においても溶存態(孔径1mumのろ紙を通過する分画)のアルキルベンゼンの除去が観測された。除去の程度は60-70%であった。除去機構として、塩析による有機コロイドの凝集に伴いそれに吸着していた炭化水素が粒子吸着態へ移行する機構が主に作用していることが明らかになった。水温が比較的高い時期(5月の観測)には微生物分解も寄与することも示された。また、河口内での一次生産が活発な時期(3月の観測時)には生成した粒子への溶存態炭化水素の移行も観測された。今後、環境条件の異なる時期に観測を行い、室内実験も組み合わせて、各除去機構の寄与の割合を数量的に表現し、モデル化し、将来予測につなげていきたい。
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