1993 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレント反ストークスラマン分光法による不安定分子種の検出
Project/Area Number |
05740357
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 治彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (70201928)
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Keywords | コヒーレント反ストークスラマン分光法 / レーザー誘起蛍光分光法 / 発光分光法 / フリーラジカル / 電子励起状態 / 電子構造 / 分子構造 |
Research Abstract |
本研究ではCARS、LIFおよび発光分光法を用いた不安定分子種(フリーラジカル)の高分解能分光の研究を行うことを目的とし、以下に述べる成果を得た。 1.パルス放電を用いたラジカル種の時間分解分光測定装置の設計・製作を行った。特に現有のストロボ用フラッシュランプの構造に習ってパルス放電部を設計した。またデジタル遅延パルス発生器を用いて放電と検出のタイミングをとるようにした。現在いくつかの基本的なラジカル種について発光分光法を用いた予備的な測定を行っている。 2.ペリン-ブロッカプリズムを用いたCARS光の検出部分の設計・製作を行った。予備的な実験を行った結果CARS散乱光とYAGレーザーの第二高調波との分離が不十分であったので、今後別途の予算で2枚の小型回折格子を購入し差分散型二重分光器を自作することとした。 3.発光分光法を用いてCN(B-X)遷移の分光学的研究を行った。その結果CN(B)状態の高振動回転準位にこれまでに報告されていなかったB〜A摂動を見出した。摂動を詳細に解析した結果CN(A)状態の分子定数をv=38まで正確に決定することができた。 4.発光分光法を用いてCN(A-X)遷移の強度分布の測定を行った。その結果CN(A-X)遷移の電子遷移モーメントの核間距離(R)依存性を従来よりも約10倍の精度で決定することができた。さらに電子遷移モーメントとスピン-軌道相互作用定数とを総合的に解析することで、CN(A)状態の電子構造(LCAOMOおよびCI係数)を実験的に推定できることが示された。 5.LIF分光法を用いてHGeBr(A-X)遷移の測定を行った。特にこれまでに帰属されていなかた回転構造を詳細に調べた結果nu3振動が励起した振電バンドに帰属されることを見出し、従来よりも正確な分子構造を決定した。
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