1994 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴周波数可変フーリエ変換パルス核磁気共鳴,核四極共鳴分光器の製作
Project/Area Number |
05740358
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
石川 厚 信州大学, 理学部, 助手 (40242713)
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Keywords | 核四極共鳴 |
Research Abstract |
当理学部にある固体用NMR装置の共鳴周波数を3MHzから30MHzの範囲で変化させたとき、NMR装置の送信機側と受信機側のインピーダンスの整合をたやすくとれるマッチングネットワークを製作した。このマッチングネットワークを使用することにより、試料コイルに強力パルス電磁場を印加でき、パルス印加後に生ずる核誘導起電力を測定に十分な感度で得た。試料温度を変化させるため、簡易型ではあるが、クライオスッタトを製作した。試料の冷却には低温窒素ガス流、および液体窒素を使い、加熱には試料コンテナに無誘導巻きに巻いたニクロム線ヒ-タを使った。77Kから360Kの範囲で目的の温度を得た。ヒ-タ電流をコントロールすることにより、緩和時間の測定中、一定の温度(±0.5K)を保てた。核信号をフーリエ変換して正しいスペクトルを得るにあたって、増幅により核信号がひずまないことが、要求される。これは、当然のことであるが、実際には、ごくわずかの励起パルスが受信機に侵入し、侵入パルスの増幅にともなってパルス直後に生じる核信号が増幅によりひずむ。受信機の各増幅段階ごとで侵入した励起パルスをダブルバランストミキサを使って遮断し、核信号成分のみを増幅できるようにしひずみのない核信号を得た。 このように改良したNMR装置を使ってtrans-[CoBr_2(en)_2][H_5O_2]Br_2とその重水素置換体の^<59>Coについて四重極共鳴を行った。^<59>Coは核スピン7/2で±7/2と±5/2、±5/2と±3/2、±3/2と±1/2のレベル間のスピンの占有数差に基づく三つ共鳴を観測できる。この化合物では、15.5MHz、10.3MHz、6.3MHzに共鳴が観測できた。高周波数側の二本の共鳴線についてスピン格子緩和時間の温度変化測定をした。定常法の測定では、約140Kで共鳴線が消失した。今回のパルス法測定では、77Kでも共鳴を観測できた。140K以下の温度では、スピン格子緩和時間が1sより長くなった。定常法における共鳴線消失の原因は、緩和時間が長くなることでスピン系が定常的に電磁場のエネルギーを吸収できなくなる飽和現象に帰属できた。実験の成果は、Z.Naturforsch.誌に発表した。緩和機構については、現在考慮中である。
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Research Products
(1 results)