1994 Fiscal Year Annual Research Report
赤外ダイオードレーザーを用いた過酸化水素の光反応過程
Project/Area Number |
05740375
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
關 金一 横浜国立大学, 工学部, 助手 (30250103)
|
Keywords | 過酸化水素 / 光化学 / 光反応素過程 / 赤外ダイオードレーザー |
Research Abstract |
本研究は地球大気反応においてHO_2ラジカルのリザバ-として重要な役割をしている過酸化水素(H_2O_2)の光反応素過程について、光反応後生じるHO_2ラジカルを赤外ダイオードレーザーを用いて直接検出する事により解明するものである。具体的にはHO_2ラジカル検出の高感度化を目的として作成した、エキシマーレーザー励起可能な紫外透過窓を持つ赤外多重反射セル(光路長15m,反射回数30回)を用い、193nmのレーザー光照射により生じたHO_2ラジカルの検出に成功した。 HO_2ラジカルの検出はレーザー照射後mus後において、1097cm-1付近に観測された3本のピークがO-O伸縮振動に対応する6_<15>-7_<16>(F_1)、6_<24>-7_<25>(F_1)、6_<15>-7_<16>(F_2)の振動回転遷移に帰属できる事より行った。HO_2ラジカルの生成過程には2つのチャンネルが考えられる。一つは過酸化水素から水素原子が直接解離して生じるHO_2ラジカルで、今回観測されたのがこれにあたる。もう一つは過酸化水素からふたつのOHラジカルが生じ、そのOHラジカルが基底状態にある他の過酸化水素と反応して生成するHO_2ラジカルである。後者は今回の実験条件下ではずっと遅れて生じるため観測にはかかっていない。従来の報告では193nm励起におけるこのチャンネルの分岐比は、直接解離より生じた水素原子と、OHラジカルを検出する事により、2:8で直接解離の方が少ないとされていた。本研究では不完全ではあるが、直接解離の分岐比がより高い事が示唆された。今後は得られたHO_2ラジカルの検出法を基に他の分子との反応速度の決定に研究を進めていく。
|
Research Products
(1 results)