1993 Fiscal Year Annual Research Report
高原子価有機ビスマスオキシド・ビスムトニウム塩の特性を活かした新しい増炭・酸化反応の開発
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05740392
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
俣野 善博 京都大学, 理学部, 助手 (40231592)
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Keywords | ビスマスオキシド / ビスムトニウム塩 / オゾン / ヨードソベンゼン / ルイス酸 / シリルエノールエーテル / 2-オキソアルキル基 |
Research Abstract |
1.ビスマスは安定元素の中で最も重い元素であり、しばしば軽元素の科学からは予測できない興味深い振舞いを示す。本課題においては、今日まで未開拓の化学種であったビスマスオキシド、ビスムトニウム塩の合成法を確立し、さらにその構造および科学挙動について検討した。 2.ビスマスオキシドの合成を目的としたトリフェニルビスムチンの直接酸化は極めて多彩な結果をもたらした。中でもオゾン/トルエン系による酸化では、予期せぬ生成物であるリトフェニルビスマスジフォルメートが定量的に得られた。一方、ヨードソベンゼンによる酸化では目的とするトリフェニルビスマスオキシドが溶液状態で定量的に生成する。この化学種は同族のリン、ヒ素、アンチモンのオキシドとは異なり各種アルコーを効率よく酸化した。 3.ビスムトニウム塩、特にアルキル-ビスマス結合を有するビスムトニウム塩の一般的合成法はこれまで全く知られていなかったが、トリアリールビスマスジフルオリド・ルイス酸・シリルエノ-エウエーテルの組み合わせによる2-オキソアルキルビスムトニウム塩の効率的な合成に成功した。得られたビスムトニウム塩の構造をX線解析により確定し、その化学的挙動を知るために種々の求核種との反応について検討した。その結果、4つのリガンドの中で2-オキソアルキル基がアシルカチオン等価体として選択的に求核試剤にトランスファーされることが明らかとなった。 4.上記の結果は、高原子価ビスマス化合物のもつユニークな一面を明らかにするものであり、今後さらに各種誘導体の合成・構造・反応性について検討していく予定である。
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[Publications] H.Suzuki: "Unexpected Formation of Triarylbismuth Diformates in the Oxidution of Triarylbismennthines with Ozone at Low Temperatures" J.Chem.Sos.,Perkin Tralls.,1. 2411-2415 (1993)
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[Publications] Y.Matano: "A Novel Synthesis of Alkylbismuthonium Salts and their Reaction with some Nucleophiles. First X-Ray Structural Aualysis of a・・・" Tetrahedron letters. 34. 8457-8460 (1993)