1993 Fiscal Year Annual Research Report
金属アミド活性種の創製とbeta-ラクタム骨格合成への応用
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05740438
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
浅尾 直樹 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60241519)
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Keywords | 金属アミド / beta-ラクタム骨格 / 不斉共役付加反応 / 三成分連結法 / カルバペネム系抗生物質 |
Research Abstract |
本報告者は、キラルな金属アミド反応剤の不飽和エステルへの不斉共役付加、それに続くアルデヒドとのアルドール縮合という三成分連結法を用いることにより、ヒドロキシエチル基をC-3位に有するbeta-ラクタム環の新規不斉合成法の開発を目指している。この化合物はチエナマイシンに代表されるカルバペネム系抗生物質の合成中間体となる。以前本報告者は、リチウムアミド反応剤とalpha,beta-不飽和エステルとの共役付加によって生じる、beta-アミノエステルエノラートのE体及びZ体の立体分岐合成に成功し、Z体のエノラートをアルデヒドと縮合させるとチエナマイシンの立体と一致する立体構造を有するアルドール体を選択的に与えることを見い出している(JCS,Chem.Commun.,1987,1410)。また最近DaviesらはキラルなリチウムN-(ベンジル)フェネチルアミド(1)がalpha,beta-不飽和エステルへ高いジアステレオ選択性で不斉共役付加することを示した。本報告者はこれら2つの手法を組み合わせ、1をalpha,beta,gamma,delta-不飽和エステルへ不斉に共役付加させ、生じたbeta-アミノエステルにリチウムジイソプロピルアミド(LDA)を処理しZ体のエノラートを形成し、これをアセトアルデヒドで捕捉し、一度に3つの不斉点が制御されたアルドール体(2)を立体選択的に構築することに成功した。更にアルドール縮合の選択性の向上を目指し、エノラートの形成後、種々のホウ素化合物を添加しその効果を調べたところ、トリメチルボラートを用いた時に最も高い選択性が得られた。現在このアルドール体(2)のカルバペネム系抗生物質への誘導を検討中である。
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Research Products
(1 results)