1993 Fiscal Year Annual Research Report
ポリオキシエチレン誘導体を用いたイオン対抽出法に関する研究
Project/Area Number |
05740446
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菊地 洋一 岩手大学, 教育学部, 講師 (50241493)
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Keywords | イオン対抽出 / アルカリ金属イオン / 非環状ポリオキシエチレン誘導体 / 水和 |
Research Abstract |
非環状ポリオキシエチレン誘導体(POE化合物)は、アルカリ金属イオンに巻き付いた形の陽イオン錯体を形成する。この陽イオン錯体は親有機性の陰イオンとイオン対を形成して有機溶媒中に抽出される。本研究の目的は、POE化合物によるアルカリ金属ピクリン酸塩のイオン対抽出系において、イオン対と共抽出される水分子の影響を明らかにすることであった。そのため本研究では有機溶媒に1,2-ジクロロエタンを用い、エチレンオキサイド鎖(EO鎖)の長さの異なる数種類のPOE化合物および上記のイオン対とともに抽出される水分子の数を、設備備品として購入したカ-ルフイツシャー水分計で測定した。このデータよりPOE化合物およびイオン対のそれぞれ1分子によって共抽出された水分子の数を求めた。この結果より以下のような知見が得られた。 POE化合物1分子とともに抽出された水分子の数は、POE化合物のEO鎖が長くなるほど多くなる。このことから水分子はEO鎖と結合して共抽出されることが認められた。 2.イオン対とともに抽出される水分子の数は、POE化合物のEO鎖が長くなるほど多くなる。また、中心金属イオンのちがいでは、Li^+>Na^+>K^+,Rb^+,Cs^+の順に共抽出される水分子の数が多い。このことから共抽出された水分子は中心金属イオンの水和水であり、金属イオンのまわりを取り囲むEO鎖は、水和水と相互作用して水分子を安定化しているものと考えられる。 POE-Li^+錯体では、リチウムイオンの水和水の数が多いため、他のアルカリ金属イオンの錯体と異なり、リチウムイオンに巻き付いたE0鎖がかなりひずんだ構造を取っていることが考えられる。
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