1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05740455
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古賀 章彦 名古屋大学, 理学部, 助手 (80192574)
|
Keywords | トランスポゾン / ショウジョウバエ / 転移頻度 / 遺伝子導入 / 種分化 |
Research Abstract |
自然から採集したモ-リシャスショウジョウバエには、mariner因子が30個以上含まれている。最初に、転移頻度の高い因子を残した状態で余分な因子を除く作業を行なった。6世代にわたる交配で、これが達成された。つぎに、転移頻度の高い因子をPCR法で増幅し、クローンとして分離した。これを、別のトランスポゾンであるP因子の内部に結合し、P因子の転移を利用してキイロショウジョウバエのゲノム中に導入した。1個だけ導入され、さらに、その中のmariner因子が転移能力を保っていることを確認した後、これを系統として確立した。転移の有無の判定は、指標系統を作製して複眼の色素のモザイクの観察で行う予定であったが、PCR法を利用してより簡単に判定する方法を考案したので、これを利用することとした。以上の材料ならびに判定法を準備した後、突然変異を誘発し、スクリーニングを行った。以下の結果が得られた。(1)モ-リシャスショウジョウバエのトランスポゾンであるmariner因子はキイロショウジョウバエのゲノム中でも転移を起こす。転移は、体細胞と生殖細胞のどちらでも起こる。(2)転移頻度は、温度と強い相関をもつ。(3)ショウジョウバエのゲノム中に、突然変異を起こせばmariner因子が転移できなくなる遺伝子が存在する。すなわち、mariner因子が転移するために必要な遺伝子が存在する。(4)その正確な数は不明であるが、そのうちの1個は常染色体上にあり、今回得た突然変異遺伝子は、野性型遺伝子に対して劣性である。
|
Research Products
(1 results)