1994 Fiscal Year Annual Research Report
アントシアニン生産細胞株を用いたアントシアニン合成系酸素遺伝子の発現機構の解明
Project/Area Number |
05740475
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小関 良宏 東京大学, 教養学部, 助手 (50185592)
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Keywords | アントシアニン / ニンジン / フェニルアラニン アンモニアリアーゼ / 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸 / myb |
Research Abstract |
2,4-D存在下でアントシアニン合成をしつつ脱分化的増殖を行う変異ニンジン培養細胞系におけるアントシアニン合成の発現制御機構を解明するため、アントシアニン合成に関与するPAL遺伝子の発現制御を調べた。プロモーター上流域を様々な部位で欠失させたPAL遺伝子をルシフェラーゼ遺伝子に結合し、これをエレクトロポレーション法により導入してプロモーター活性の発現を調べた。その結果、PAL遺伝子の全長約2.4kbp上流から-252bpまでを欠失させたものにおいて、強い発現が見られた。そこでこの細胞から核抽出液を調製し、この領域についてゲル・シフト法により発現調節に関わる因子の存在を調べた。その結果、2,4-Dを含まない培地中でアントシアニン合成を誘導している正常細胞から調製した核抽出液を用いた場合と同じ位置にシフトしたバンドが見られ、これがアントシアニン合成にPAL遺伝子の発現に関与している因子であると考えられた。さらに、この因子をクローニングするために、この変異ニンジン培養細胞から得たmRNAから、正常細胞から得たmRNAをサブトラクトして、アントシアニン合成時に特異的に発現しているmRNA由来のcDNAライブラリーを作成した。ここで作成したcDNAライブラリーの特異性を調べるため、アントシアニン合成の発現制御因子であるmyb遺伝子のDNA結合領域をプローブにしてスクリーニングしたところ、通常のcDNAライブラリーでは10^5クローンに1個の割合でしかポジティブ・シグナルが得られなかったのに対し、ここで作成したcDNAライブラリーにおいては、10^5クローンから100個以上のポジティブ・シグナルが得られ、このcDNAライブラリーにおいてアントシアニン合成時に発現しているmRNAに対するcDNAが特異的に濃縮されていることがわかった。現在、このcDNAライブラリーよりPAL遺伝子発現を制御している因子をクローニングすることを行っている。
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[Publications] Ozeki,Y.,Davies,E.,& Takeda,J.: "Structure and expression of chalcone synthase gene in carrot suspension cultured cells regulated by 2,4-D." Plant Cell Physiol.34. 1029-1037 (1993)
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[Publications] Takeda,J.,Abe,S.,Hirose,Y.,& Ozeki,Y.: "Effect of light and 2,4-dichlorophenoxyacetic acid on the level of mRNAs for phenylalanine ammonia-lyase and chalone synthase in carrot cells." Physiol.Plantarum. 89. 4-10 (1993)
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[Publications] 小関良宏: "アントシアニン生合成系の発現制御" バイオサイエンスとインダストリー. 51. 17-21 (1993)
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[Publications] Ozeki,Y. & Takeda,J.: "Differential regulation of phenylalanine ammonia-lyase genes during anthocyanin synthesis and by transfer effect in carrot cells." Advances in Biotechnology and Developmental Biology of Higher Plants. 5. 474-484 (1993)