1993 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の緑葉における老化過程の分子マーカーの単離
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05740479
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 正樹 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 助手 (10242851)
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Keywords | 老化 / シロイヌナズナ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究は、高等植物の緑葉の老化過程で特徴的に発現する遺伝子の単離を目的として行った。老化過程で特徴的に発現する遺伝子を単離するために、当初は老化している葉からmRNAを抽出し、cDNAライブラリーを作製して、differential screening法によるcDNAクローンの単離を考えていたが、最近報告されたdifferential display法を採用することにした。また、植物材料としてシロイヌナズナを用いることとした。本葉が完全に展開したシロイヌナズナ植物体を暗所で24時間処理し、mRNAを抽出した。また、同様の時間、生育させたシロイヌナズナ植物体からmRNAを抽出し、暗処理を行っていないコントロールとして用いた。これらのmRNAから逆転写酵素を用いて1st strand cDNAを合成し、10merの任意の配列を持つオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR法によりDNA増幅を行い、その産物をアガロースゲル電気泳動によって分離した。鋳型として暗処理を行った葉から得たcDNAを用いた場合に特異的に現れるDNA断片をゲルから回収し、これをプローブとしてノーザンハイブリダイゼーション法を行い、暗処理を行った葉に特異的にmRNAのンドが見られるかどうかを指標にしてスクリーニングを行った。現在まで約30個の特異的なPCR産物についてノーザンハイブリダイゼーションにより検定を行い、暗処理を行った葉に特異的に発現しているmRNAに対応するDNA断片を2種同定している。今後、更に、ノーザンハイブリダイゼーションによるスクリーニングを進め、暗処理により誘導されるcDNAクローンを複数単離したいと考えている。また、将来的には、スクリーニングの結果得られたPCR産物に対応するクローンをcDNAライブラリーから単離し、遺伝子産物の構造を特定したいと考えている。また、どのようなメカニズムにより、遺伝子発現が暗処理によって誘導されるのかについて解析を行いたいと考えている。これらの研究により、暗処理によって葉が老化する際に、老化へ方向づけるような遺伝子発現を同定されるのではないかと期待される。
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