1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05740481
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 祐一 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (80222264)
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Keywords | ラン藻 / クロロフィル生合成 / プロトクロロフィリド還元 / 二成分系 / ビス(5'-アデノシル)四リン酸ホスホリラーゼ |
Research Abstract |
ラン藻Plectonema boryanumのchlL(frxC)遺伝子とその下流に存在するch1N(ORF467)遺伝子は、クロロフィル(Ch1)の生合成の一過程プロトクロロフィルド(Pchlide)からクロロフィリド(Chlide)への還元反応系(光非依存性)に関与する蛋白質をコードしている。原核生物では、機能の関連した遺伝子がオペロンを構成している場合が多い。本年度、P.boryanumのch1L-ch1N周辺にCh1生合成に関連した遺伝子が存在する可能性を検討した。 ch1L-ch1Nを含む全長7.6kbのDNA断片について塩基配列を決定した。その結果、ch1L-ch1Nの上流2.3kbには、ch1L-ch1Nと同じ転写方向にORF451、ORF147が、下流2.9kbには、ch1L-ch1Nと逆の転写方向にORF288、ORF303が見い出された。この領域は、ORF451-ORF147-ch1L-ORF133-ch1N-ORF288-ORF303という遺伝子構成となっていることが推定される。ホモロジー検索の結果、ORF303蛋白質は、酵母のビス-(5'-アデノシル)四リン酸ホスホリラーゼI及IIと約20%の類似性が認められた。また、ORF451蛋白質は、N末端側とC末端側とが各々細菌の情報伝達系である二成分系のresponse regulatorとsensor kinaseとに類似性を示した。他の二つのORFについては、類似性を示す蛋白質は見つからなかった。 ch1L-ch1Nを含む7種のORFについてNorthern解析を行い、いずれも転写物を確認した。さらに、ORF303以外のORFについて、カナマイシン耐性遺伝子による遺伝子破壊株を単離した。いずれの欠損株もは、野性株と同様明暗いずれの条件でも正常にChIを合成した。したがって、これらのORF産物がCh1の合成に関与する可能性については否定的である。一方、ORF147の欠損株は、光合成独立栄養条件下で生育が遅く、逆に暗所従属栄養条件下では生育が速いという興味深い形質を示した。ORF147産物は、光合成系と呼吸系の制御機構に関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)