1994 Fiscal Year Annual Research Report
アブラムシ細胞内共生系におけるHSP60の挙動に関する研究
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05740505
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 哲郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20202377)
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Keywords | HSP60 / 細胞内共生 / 熱ショックタンパク質 |
Research Abstract |
1.HSP60化学修飾実験 アブラムシ細胞内共生微生物の産生するHSP60(シンビオニン)は大腸菌のHSP60であるgroELとアミノ酸配列で90%近い相同性がある。しかしながら、その生化学的性質に関しては、シンビオニンは自己リン酸化活性を有しリン酸化の都度によりシャペロン活性が変化するがgroELタンパク質にはそのような性質は認められないという違いがある。そこでシンビオニンのリン酸化部位の構造を解析するため、アミノ酸の修飾試薬を用いてリン酸化を受けるアミノ酸の同定を試みた。その結果、Hisの修飾試薬であるジエチルピロカーボネートおよびメチルp-ニトロベンゼンスルホネート処理によってシンビオニンのリン酸化が顕著に阻害され、His残基がリン酸化されることが強く示唆された。シンビオニンには3ヶ所His残基が存在するが、そのうち、133番目のHis残基は、大腸菌のgroELタンパク質で保存されておらず、このアミノ酸が修飾を受けている可能性が高いと考えられる。現在、ジエチルピロカーボネート処理シンビオニンのトリプシン分解物をHPLCで分離し、修飾アミノ酸残基の同定を進めている。 2.共生細菌単離の試み 共生細菌をアブラムシ細胞や他の培養細胞系に移植する実験系を確立するため、アブラムシから共生細菌の単離精製を試みた。共生細菌は、アブラムシを軽くホモゲナイズした後パーコール密度勾配遠心分離によって高純度に精製されたが、タンパク質合成機能は著しく低下していた。そこで、現在、移植実験に用いるためのintactなアブラムシ共生細菌が得られるような精製条件の検討を行なっている。
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