1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05750064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
緒方 秀教 東京大学, 工学部, 助手 (50242037)
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Keywords | 変数変換型公式 / Sinc近似理論 / Lagrange補間 / Lagrange-Bessel補間 / 整関数 |
Research Abstract |
数値積分において強力な手法の一つである「変数変換型公式」は、Stengerにより研究されている「Sinc近似理論」と組み合わせることにより、積分計算以外に、さまざまな数値計算に適用することが出来る。本年度はこのSinc近似理論の基礎を数学的観点から見直し、さらに、Lagrange補間のある種の拡張として理論の一般化を図ることに、研究の主眼を置いた。 数値解析において伝統的な手法の一つである、Lagrange補間とは、未知関数を有限個の標本点で関数値が一致するように多項式で近似する、関数近似の手法である。これは「有限個」の標本点を用いた補間であるが、標本点の数を「無限個」にした極限公式を考える。これが上で述べた、Lagrange補間の拡張である。 今回の研究では、従来の「Sinc補間」も拡張されたLagrange補間のひとつと見なせることが分かった。これは上で述べた「Sinc近似理論」の基礎公式であり、Lagrange補間の拡張という観点から眺めると、sin chiの零点、すなわち、実軸全体に等間隔に分布する標本点を用いた補間と見なせる。 今回の研究においては、「Lagrange-Bessel補間」を新たに考案し、誤差解析及び数値実験を行なった。これはsin chiの代わりにBessel関数の零点を標本点に用いた補間公式である。数値実験を行なったところ、Sinc補間とほぼ同程度の精度を得ることが確認された。 誤差解析では次のことが確認された。解析関数に対して補間を行なったとき、補間誤差は複素積分を用いて表すことが出来るが、被積分関数に補間標本点を零点に持つ整関数(全複素平面で正則な関数)を含む。整関数の値分布は零点の分布に大いに依存することが分かっており、よって標本点の分布が補間誤差を最も大きく決定付けることが言える。とくに標本点が漸近的に等間隔に分布する場合(Sinc補間、Lagrange-Bessel補間はこれに含まれる)、誤差は標本点数密度に対し指数関数的に減少することが、示される。
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Research Products
(1 results)