1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05750140
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 一郎 東京工業大学, 工学部・化学工学科, 助手 (00183111)
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Keywords | トライボロジー / 摩擦調整剤 / 分子設計 / エステル油 / エーテル油 / リン酸エステル / 摩耗防止 / 焼付き防止 |
Research Abstract |
1,2-フェニレンリン酸(以下OPP)は極性基を持つ合成油,特にエステル油とエーテル油に対して有効な摩擦調整剤であることを示した.なかでも焼付き防止と摩耗防止能は従来のリン酸エステルと比べて特に優れた性能を発揮した.OPPのもう一つの特長は低濃度の添加でも十分に摩耗防止効果を発揮することである.しかし基油中の含水量が多くなると鉄に対する腐食性が観察された.本研究ではOPPの優れた摩擦調整能を損なわないような官能基修飾を施すことによる極性合成油に適する摩擦調整剤の分子設計を行った. OPPはリン酸のジエステルなのでその水溶液は強酸性を示す.これが腐食の主原因と考え,塩基性塩で中和した塩を調整し,油溶性と腐食性を調べた.アルカリ金属塩とアンモニウム塩は腐食性はないが合成油には溶解しなかった.そこでアンモニウム塩の誘導体であるアルキルアミン塩への変換により溶解性を付与することを試みた.その結果,1,2-フェニレンリン酸アルキルアミン酸(以下OPP・NR_3)が,摩擦調整能を損なうことなく腐食を誘発しない物性を持つことが明らかとなった.さらにOPP・NR_3のアルキル基の炭素数を調整すことによって基油に対する溶解度が可変であることを見い出した.また,アミンの構造と磨耗防止能を調べた結果3級アミンがもっとも良い性能を示すことがわかった. 以上のように極性合成油に対してOPP・NR_3が優れた摩擦調整剤であること,構造が異なる基油には添加剤のアミンの部分構造を調整することによって対応可能であることを明らかにした.実用を加味してOPP・NR_3そのものをを合成することなく,基油にOPPと対応するアルキルアミンを溶解する操作を検討し,フォーミュレーションの点でも容易な添加剤の開発に成功した.
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Research Products
(1 results)