1993 Fiscal Year Annual Research Report
予混合室付2流体アトマイザ内部の微粒化過程に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05750163
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 孝司 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (10235963)
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Keywords | 液体の微粒化 / 2流体アトマイザ / 気液二相流 / 液膜流 / 気液界面 / 表面波 |
Research Abstract |
多量の液体を少ない空気流量で効果的に微粒化できる予混合室付2流体アトマイザは幅広い分野で利用されいる.しかし,内部の微粒化過程についてはほとんど解明されていない.この種のアトマイザにおける基本的な微粒化過程としては,(1)液滴の出口オリフィス通過時の再分裂,(2)オリフィス壁面に沿う液膜界面からの液滴発生および(3)オリフィス出口端での液膜の崩壊が考えられる.これらのうち,(1)については臨界液滴径などの従来の資料から,また,(3)については,出口端での液膜厚さがわかれば,気流中での液膜崩壊に関する資料からそれぞれ類推できよう.したがって,壁面に沿う液膜の加速ならびに液膜界面の崩壊が研究の要点となる.ここで,実際のアトマイザでは流動の観察が困難であるから,より大きな流路での実験が必要であることは言うまでもない.そこで本研究では,流路を風上方向にわずかに傾けることで任意の気流・液体の速度のもとで液膜厚さを自由に設定でき,しかもその傾角から液膜に作用する摩擦力が測定可能な実験装置,ならびに電気抵抗法に基づく界面波の波高・波速の計測装置を新たに製作して、液膜の界面性状や作用する摩擦力に及ぼす気流速度,液体速度,液膜厚さ,液体の物性値などの個々の流体力学的因子の影響を具体的に調べた.その結果,(1)液膜の界面性状は気液間の相対速度と液膜厚さに強く依存しており,巻波が発生する臨界の相対速度は液膜厚さが小さいほど大きくなること,(2)液膜に作用する摩擦力は巻波の発生にともなって急増すること,(3)巻波の波速は平均液体速度に比べて著しく大きいことなどを明らかにした.さらに,液膜界面の詳細な瞬間写真観察により,(4)界面からの液滴の発生は巻波の波頭部の崩壊に起因すること,(5)液滴が発生する臨界の相対速度は液膜厚さが小さいほど大きいことなどを明らかにして,2流体アトマイザの設計あるいは性能予測に有用な基礎資料を提示した.
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