1993 Fiscal Year Annual Research Report
湿式法による高温熱電発電用ケイ素化合物の微細構造制御と高効率化
Project/Area Number |
05750281
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 友幸 東京工業大学, 工学部, 助手 (40203153)
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Keywords | 熱電材料 / メッキ / 鉄ケイ化物 / フェライト |
Research Abstract |
FeSi_2微粒子表面へのフェライトのコーティングはリアクターフェライトメッキ装置を用いて行った。このフェイトメッキ装置は、基板表面で行っていたフェライトメッキ反応を微粒子の表面で行わせるようにしたものである。錯化剤(CH_3COONH_4(50g/l))を溶解させた水溶液(200ml)の中にFeSi_2微粒子(粒径〜1〜2mum)を4g/l分散させ、ここに反応液(FeCl_2(36g/l))と酸化液(NaNO_2(16g/l)+CH_3COONH_4(20g/l))を順次送り込んだ。反応槽の中の水溶液のpHを一定値に保った状態で、反応液を一回当たり10ml送り、次に酸化液を酸化還元電位(ORP)が一定値になるまで送り込み、この操作を15回繰り返した。反応槽の温度は約70℃に制御され、反応時のpH(6.5,7.3,7.5)とORP(-400,-300mV)を変化させてコーティングの条件を決定した。その結果、pH=7.3、ORP=-400mVの時に結晶性の良いFe_3O_4層が微粒子表面に形成されることがわかった。それ以外の条件では、鉄の酸水酸化物等が形成され単相のFe_3O_4は得られなかった。このようにORPを指標として酸化剤の投入量をコントロールすることにより形成される層を変化させることができることがわかった。 上記の方法で作製した微粒子を用いて、バインダーとしてPVAを加えて〜600kg/cm^2の圧力で成形した。これをN_2雰囲気あるいは真空中、〜840℃で熱処理してセラミックスを作製したが、Fe_3O_4とFeSi_2以外の相が現れ、外側のFe_3O_4と核のFeSi_2とが反応することが明かとなった。このセラミックスの電気伝導率、熱電能を測定したが、現段階では単相のFeSi_2を上回る値は得られていない。今後は、FeSi_2と反応しない最適材料を探査する予定である。
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