1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05750417
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鷹羽 浄嗣 京都大学, 工学部, 助手 (30236343)
|
Keywords | H_∞推定 / ミニマックス推定 / ゲーム理論 / リカッチ差分方程式 / カルマッフィルタ |
Research Abstract |
本研究は,線形離散時間システムにおいて有限時間区間H_∞推定問題と等価な2次形式誤差評価関数に関するミニマックス推定問題を考察したものである。このミニマックス推定問題は推定器を最小化方策,外乱および観測雑音を最大化方策とするLQゲームであるが,推定器による最小化と観測雑音による最大化の順序の入れ替えによって,2種類のミニマックス推定問題(濾波型ミニマックス推定問題と1段予測型ミニマックス推定問題)を定式化した。ラグランジュ未定乗数法に基づく線形2次最適化手法を用いて,最適な最小化方策(ミニマックス推定器)と最大化方策(最悪外乱)を導出し,ミニマックス推定器がH_∞推定器となることを示した。 また,H_∞推定器は,ある行列の正定値性を満足するH_∞リカッチ差分方程式の解を用いて与えられるが,帰納法によりこのリカッチ差分方程式について,次の2つのことが成り立つことを示した。第一に,外乱および観測雑音がある特定の分散をもつガウス性白色雑音である場合に,H_∞リカッチ差分方程式の解は推定誤差分散の上界を与えることを示した。このことは,最小分散推定器であるカルマンフイルタと比較して,H_∞推定器は観測雑音に対する感度が高いが,システムの状態の変化に鋭敏に追従することを表している。第2に,H_∞推定器の性能は,最大化方策(外乱と観測雑音)に対する罰則の大きさを表すパラメータに関して,H_∞リカッチ差分方程式の解が単調非増加となることを示した。これは,第一の結果とともにH_∞推定器を設計するための指針として有用な結果である。 最後に,簡単なパラメータ推定問題の数値計算によって,上述の結果を検証した。
|