1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05750491
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小林 智尚 東京理科大学, 理工学部, 助手 (50205473)
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Keywords | 非対称 / 人工海藻 / 波動場 / 流速場制御 / 方向制御 |
Research Abstract |
本研究では波動場において非対称に変形・動揺する人工海藻を提案し、その有効性を示すことを目的としている。 本研究で提案した人工海藻は長方形のフィルムを水平方向に湾曲させた構造を有している。この湾曲によって、人工海藻は湾曲凹面側には容易に変形・転倒するが、湾曲凸面側には転倒せず直立したままになり、非対称の変形を示すようになる。これによって、ある方向のながれで人工海藻が湾曲凹面側に転倒しているときにはこの流れを抑制しないが、逆方向のながれでは海藻は直立して流れを抑制するというように、流れの制御に方向性を持たせることができた。この特性によって、浮遊砂の制御も可能と考えられる。 しかし、この人工海藻の動揺は複雑であるため、その長さが流速場制御の効果に関係していることが分かった。そこで波動場の周期Tと水粒子の最大流速U_<max>、人工海藻の長さlからなる無次元数U_<max>T/lを定義し、流速場制御の効果との関係を調べた。その結果、この無次元数がほぼ2の時に効果が最大となり、それ以下では急激に、またそれ以上でも緩やかに効率が低下した。この無次元数が小さいときには相対的に人工海藻が長くなり、この海藻が直立する時間が短くなるため、流れを抑制できなくなっていた。また逆にこの無次元数が大きい場合には相対的に人工海藻が短くなるために、相対的な堅性が高くなり、湾曲凹面側に十分には変形・転倒していなかった。 このように本研究では方向性を含めて流れを制御できる新しい人工海藻を提案し、不十分ながらその性質を定量的に明らかにした。
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