1993 Fiscal Year Annual Research Report
希土類金属および希土類-遷移金属合金薄膜の低温酸化挙動の観察
Project/Area Number |
05750601
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
内田 晴久 東海大学, 教養学部, 講師 (50232856)
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Keywords | 希土類元素 / 酸化 / 薄膜 / カイネティクス / 希土類-遷移金属合金 / 水晶振動子 |
Research Abstract |
希土類金属は、新しい機能を出現させる元素として期待され、希土類金属を含む薄膜の利用も今後多くなることが予想される。希土類-遷移金属系合金薄膜の作製について、及び室温付近での酸化の挙動を、低圧から大気圧までの圧力範囲にて具体的に測定した結果を報告する。 モデル組成として最近磁性材分野にて注目されている超磁歪を示すTbFe_2を取り上げ、その薄膜化を試みた。薄膜形成法として、アルゴンイオンビームによるスパッタ法をもちいて、TbFe_x組成の合金ターゲット、及びTbとFeチップ材を組み合わせたターゲットにより、所定の組成を持った薄膜を得る条件を見い出した。このとき、ターゲットに対する基板の位置によっても組成が異なる結果が得られ、ターゲット組成のみならず基板位置が重要である知見が得られた。 TbFe_2薄膜(5mum)を超高真空下で作製した後、300Kにて1x10^<-2>Pa程度の酸素にさらし、反応による水晶振動子の周波数変化をペンレコーダーで計測した。また、一定時間毎にオージェ電子分光分析を行った結果、酸化反応が大きく2段階に分かれていることが理解された。すなわち、初期の酸化反応では、非常に速い速度でTbが選択的に酸化され、表面がTb酸化物で覆われ、これが対物線則に近い反応速度で全体の酸化膜厚の半分以上まで成長してゆき、かつ最初の数分から数時間の間に生じることがわかった。その後、Tb酸化膜中、及びその下層に存在する金属Feが酸化反応により表面に拡散し、表面がFe酸化物で覆われる結果となった。これらの酸化膜はおよそ250nmの厚さであり、以後数週間大気中にさらした後でも、その構造はほとんど変化せず、この薄膜をデバイスなどに応用したばあいでも、薄膜厚が十分厚ければ特に保護膜などを必要としないことを示唆している。
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Research Products
(2 results)