1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05750612
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩野 剛司 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (30178850)
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Keywords | スピネル / アルコキシド法 / 微粉末 / 焼成 / 高密度焼結体 |
Research Abstract |
高純度で単一相からなるスピネル(MgAl_2O_4)粉末の合成,およびスピネル焼結体をより低い温度で焼成することを目的として,まずマグネシア微粉末を含むアルミニウムアルコキシド溶液からのセラミック前駆体の合成を試みた.得られたセラミック前駆体の構成物は水分添加量に大きく依存し,水分添加量の少ない条件で合成した前駆体はMgOとAlO(OH)から構成されていたが,水分添加量の増加と共にMgOは減少し,Mg_4Al_2(OH)_<14>・3H_2Oの生成・増加することが分かった.そして,H_2O/MgO≧16の条件で得られた前駆体は,このMg-Al複合水酸化物とAlO(OH)のみから構成されていた.これらの前駆体を1200℃でか焼し,粉末中のスピネルの生成量を調べた結果,水分添加量と共にスピネルは増加し,Mg-Al複合水酸化物の生成が,スピネルの生成に大きく寄与することが明らかになった. さらに,これらのか焼粉末の焼成特性を調べた結果,H_2O/MgO=20の条件では,水分添加量の増加に伴い,粉末の焼結性は向上する傾向がみられた。この傾向は,水分添加量による粉末中のスピネルの生成量の増加とよく対応した。よい焼結性をしめしたH_2/MgO=20の条件では,1500℃の焼成でも相対密度が99%の高密度な焼結性が得られた. しかし,水分添加量を変化させるだけでは,1200℃のか焼でスピネル単一相から構成される粉末を得ることはできなかった.そこで,スピネル化の促進を狙い,前駆体の合成の水分添加時にHClをあわせてくわえた.このHClの添加によりスピネルの生成は促進され,1200℃のか焼粉末は,スピネルの単一相となり,さらに粉末の焼結体も著しく向上し,1400℃で焼成を行うことにより,焼結体は密度が99.8%に達し,わずかに透光性を示した.
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