1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05750724
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬川 規 北海道大学, 工学部, 助手 (30196935)
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Keywords | 化学発光 / 化学振動反応 / ペルオキシダーゼ / グルタチオン |
Research Abstract |
本研究では、ペルオキシダーゼ(HRP)が触媒する振動化学発光(振動CL)反応の機構の解明および、振動CL反応の応答曲線の形状の変化からグルタチオンの定性、発光量の増分から定量を行う分析法の検討を行った。 1.振動CLの機構:まず、反応進行中のHRPの酸化状態の変化を吸光法により追跡した。その際、着色しているフルオレセインの代わりに無色のウンベリフェロンを用いた。その結果、発光量の変動は、HRPの活性中間体、Compound IおよびII、と不活性な中間体Compound IIIとの間の周期的な変動を反映していた。反応開始時はCompound IおよびIIの作用によりCLが発現し、その後Compound III濃度の増大に伴い、CLは徐々に減衰した。この原因は、Compound IIとH_2O_2とからCompound IIIが生成する反応が、振動CLの発現に必要な高いH_2O_2濃度では無視できなくなるためである。その後、生成したCompound IIIが分解し、Compound Iに変換され、CLが再び増大した。この過程が繰り返されるために振動現象が発現するものと推定した。推定反応式に基づき本振動CL反応の機構を速度論的に検討した。以上の成果は雑誌論文(Bull.Chem.Soc.Jpn.)に公表した。 グルタチオンの分析法:グルタチオンによる応答曲線の形状変化が明瞭であり、かつ、強く発光するように反応条件を最適化した。最適条件における発光量の増分とグルタチオン濃度との関係は、30muM〜0.4mMのグルタチオン濃度範囲で直線となった。また、共存物質の影響を調べた所、システイン、システアミン等の生体チオールの許容濃度は、従来法(OPT法)に比較して優れていた。なお、グルタチオンによるCL応答の変化の原因は検討中であるが振動CLを発現しない緩衝剤を用いてもCLが増感することから、振動現象の発現とは独立した機構で励起種が生成するものと考えられる。
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