1993 Fiscal Year Annual Research Report
モノアザ-およびジアザポリチアエーテル誘導体の銀(I)イオン分離・定量への応用
Project/Area Number |
05750725
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂本 英文 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10192593)
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Keywords | イオン選択性電極 / 液膜輸送 / ポリアザポリチアエーテル / 銀イオン / 分離 / プロトン駆動型輸送 / 定量 / クラウン化合物 |
Research Abstract |
本年度は,新たに合成したN-フェニルモノアザ-テトラチア-15-クラウン-5及び-ジチア-9-クラウン-3をニュートラルキャリアーとする銀イオン選択性電極を作製すると共に,環状と非環状のN-フェニルモノアザテトラチアエーテルにプロトン解離性部分としてヒドラゾン部分を付与した誘導体をイオノフォアとする銀イオンのプロトン駆動型輸送について主に検討した. 銀イオン選択性電極では,マトリックスであるポリ(塩化ビニル)(PVC)と可塑剤,それに上記の試薬を含むTHF溶液を風乾して調製した可塑化PVC膜を感応膜として用いた.これらの電極により測定を行ったところ,いずれの試薬の膜についても可塑剤にNPOEを使用し,添加塩としてNaDPAを含むもので銀イオンに対して良好なネルンスト応答が認められた.しかしながら,溶媒抽出の結果とは異なり,アルカリ金属イオンや他の遷移金属イオンの妨害を強く受けることがわかった.現在は,膜溶媒や添加塩などの膜条件を変えて最適条件を検討している. また,ヒドラゾン部分を持つモノアザテトラチアエーテル誘導体を用いた銀イオンのプロトン駆動型の液膜輸送では,環状と非環状のいずれの試薬においても溶媒抽出と同様に極めて高い銀イオン選択性を示した.特に非環状のものでは高いイオン輸送能を示し,実際にFe(III),Co(II),Ni(II),Cu(II),Zn(II),Cd(II),Ag(I),Hg(II)の混合溶液中から銀イオンのみを選択的に,ほぼ完全に分離できることを認めた.
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