1994 Fiscal Year Annual Research Report
光電気化学エッチング法による機能性半導体セラミックスの粒構造解析
Project/Area Number |
05750733
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉浦 隆 岐阜大学, 工学部, 助手 (40171144)
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Keywords | 光電気化学エッチング / 粒界 / セレン化カドミウム / 酸化亜鉛 / バリスター / センサー |
Research Abstract |
光電気化学エッチング法は,半導体電極を電解液に浸し光照射すると光生成された正孔により半導体自身が溶解することを利用したエッチング方法である.本研究では,光電気化学エッチングサイトの選択性が粒構造に依存することに注目して,CdSe,ZnOなどの半導体機能性セラミックスの粒構造解析を試みた. 1.CdSe焼結体電極を弱いアノード分極下で光電気化学エッチングすると通常のアノード分極下では選択的に溶解する粒界が,板状に溶け残ることを既に報告している.今回,CdSe焼結体を弱いアノード分極下で,吸収係数の高い短波長の光で光電気化学エッチングを行ったところ,粒界が溶け残るとともに,その両側に通常の結晶粒表面よりエッチング速度の速い領域が形成されることを見いだした.これは,粒界の両側に形成される空間電荷層の電位勾配によって光生成された電子-正孔対が効率的に電荷分離されたためと考えると説明できる.したがって,エッチングパターンを観察することにより粒界部の空間電荷層幅を見積もることができると考えられる. 2.ZnOおよびBi_2O_3添加ZnO焼結体電極に光電気化学エッチング法を適用して,その粒界部のエッチングサイト選択性について検討した.その結果,CdSeと同様のエッチングサイト選択性が見られ,無添加のZnOに比べBi_2O_3添加ZnOの場合のほうが,粒界部におけるエッチング速度の速い領域の幅が広いことがわかった. 粒界部に形成される空間電荷層は,バリスターやセンサーなどの半導体機能性セラミックスの機能発現に重要な役割を果たすことが知られているが,光電気化学エッチング法がその解析に有用であることがわかった.
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