1993 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ粒子分散セラミックス複合材料の作製と機械的特性改善及び新機能の付与
Project/Area Number |
05750749
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関野 徹 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20226658)
|
Keywords | ナノ複合材料 / セラミックス / 金属複合材料 / 還元 / 焼結法 / 破壊強度 / 破壊靱性 / ナノ構造制御 / 界面構造 / 強磁性 |
Research Abstract |
アルミナ/金属ナノ複合材料の開発を目的として、分散金属粒子にタングステン、モリブデン、チタン、鉄、ニッケルを用いて複合材料を作製した。作製方法として、1)アルミナと金属超微粉(粒径数10〜数100nm)の混合粉末を真空或いは不活性ガス中ホットプレス焼結を行った。さらに、より微細な金属を分散させる目的で、2)アルミナと金属酸化物あるいは化合物の混合粉末をホットプレスで還元/熱分解し焼結する方法を開発した。 上述の方法で作製した複合体について、TEMによる微細組織観察を行った結果、ナノメーターサイズの微細な金属粒子はアルミナ結晶粒の内部及びその粒界に分散したナノ構造を示していることが示された。酸化物を用いて還元法で作成した場合、より微細に金属を分散させることができ、その粒径は10〜70nmとなった。また、超高分解能電子顕微鏡によりアルミナと金属の界面観察を行った結果、W,Ti,Niなどの金属の場合明確な反応相などなく、セラミックスと金属は原子レベルで接合し、強固な界面が形成されていることが示された。さらに、複合材料の破壊強度や破壊靱性はアルミナ単相材料の約1.5〜2倍と著しく改善された。以上の結果から、金属を分散させた場合でも、ナノサイズ金属分散による組織制御の結果、機械的特性が大幅に改善できる事が示された。 更に、金属ニッケルを分散させたAl_2O_3/Niナノ複合材料は室温で強磁性を示すことが明らかになった。このときの保磁力は純ニッケル金属の約100倍の30〜50 Oe(エルステッド)と非常に高い価を示した。これは分散した個々のNi粒子が100nm以下と非常に微細なため単軸構造となったことと、熱膨張係数差に起因する高い残留応力のためである事が明らかになった。 以上の研究から、セラミックスと金属をナノレベルで複合化する事で、異なる機能(例えば機械的特性と磁気的特性など)を同時に実現した新しい複合材料を実現化するための基礎的な知見を得ることができた。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] T.Sekino et al.: "Relationship between microstructute and high-temperature mechanical properties for Al_2O_3/W nanocomposites" Proc.of IU-MRS ICAM ‘93(Tokyuo). in print. (1994)
-
[Publications] T.Sekino et al.: "Interface structure of ceramic/metal nanocomposites" Proc.of JFCC Workshop on Fine Ceamics ‘94. in print. (1994)
-
[Publications] 関野 ほか: "セラミックス系ナノ複合材料における界面の役割" 化学工学シンポジウムシリーズ42、機能性表面の解析と設計II. 42. 50-60 (1994)