1993 Fiscal Year Annual Research Report
オキシメチレンオリゴマーの合成・単離とその構造科学的研究
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05750786
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
右手 浩一 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (30176713)
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Keywords | オリゴマー / ポリオキシメチレン / 超臨界流体クロマトグラフィー / 結晶多形 / X線結晶構造解析 / ^1H NMR / 示差熱分析 / らせん構造 |
Research Abstract |
両末端にアセチル基を有するオリゴオキシメチレンを合成し、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)で重合度分別することにより、8〜16量体をそれぞれ純粋に単離することができた。少量のメタノールを含む2酸化炭素を移動相、順相タイプのシリカゲルを固定相に用いたとき、SFCの分離は最も効率が高かった。SFC分取の際、温度を130℃以上に設定すると、末端アセチル基の一部が分解してアセタール化することがわかった。 8〜16量体の融点は、Staudingerらが1927年に報告した値よりそれぞれ4〜10℃高かった。示差熱分析を行ったところ、いずれのオリゴマーにも融解以外の相転移は認められなかった。9〜12量体のエタノール溶液中からは、それぞれ単結晶が得られた。X線解析の結果、いずれの重合度でもオリゴマーのアセタール骨格はらせん形成し、11および12量体は9/5らせん、10量体は2/1らせん、9量体は両者の中間であることがわかった。11および12量体の結晶構造はポリオキシメチレン(POM)の安定相(三方晶)、10量体のそれはPOMの準安定相(斜方晶)にほぼ一致する。10量体の単結晶を用いることにより、これまで不確実な部分が残されていた斜方晶POMの赤外およびラマンバンドの帰属を決定することができた。 両末端に1-フェニルエチル基を有するオリゴオキシメチレンの合成・単離を上記と同様にして行った。重クロロホルム中30℃で10量体の^1H NMRスペクトルを測定したところ(500MHz)、末端の不斉炭素から6個の結合を介して隔たったメチレン基の2つの^1H核にも非等価性が認められた。この結果は、オリゴオキシメチレンの不斉な(一方向巻の)らせん構造が溶液中でもある程度安定に存在し得ることを示している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 右手 浩一: "X-Ray Single Crystal Analysis of Oligo(oxymethylene)Diacetates" Polymer Journal. 25. 1275-1281 (1993)
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[Publications] 小林 雅道: "Polarized Raman and Infrared Studies of Single Crystals of Orthorhombic Modification of Polyoxymethylene and Its Linear Oligomers" Jouirnal of Raman Spectroscopy. 24. 533-538 (1993)