1994 Fiscal Year Annual Research Report
水稲の倒伏抵抗性に関係する稈の構成成分の生化学的性質の解明
Project/Area Number |
05760012
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大川 泰一郎 東京農工大学, 農学部, 助手 (80213643)
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Keywords | 稈 / 細胞壁構成成分 / 水稲 / 品種間差異 / 倒伏抵抗性 / 曲げ応力 / 密度 / リグニン |
Research Abstract |
遺伝的性質の著しく異なる水稲22品種のうち,倒伏抵抗性に関係する稈の材質の強度を表す曲げ応力が著しく異なる7品種の水稲を用いて,稈のどのような構成成分の生化学的性質が曲げ応力と関係し,品種間の曲げ応力の相違をもたらすかを検討した.稈の細胞壁構成成分の組成には品種間で数%の小さな相違は認められたが,この組成と品種間の曲げ応力の相違との関係は認められなかった.稈の構成成分の含有量と曲げ応力との関係を明らかにするため,単位組織体積当たりの細胞壁構成成分含有量,すなわち,細胞壁構成成分密度を比較した.その結果,細胞壁多糖類構成単糖であるグルコース密度,キシロース密度に大きな品種間差異があり,同じく細胞壁を構成するリグニン密度にも大きな品種間差異があった.曲げ応力が大きいことによって葉鞘付挫折時モーメントが大きく倒伏抵抗性の大きい台中189号,台農67号では,曲げ応力の小さいコシヒカリ,フジミノリに比べてグルコース密度,キシロース密度,リグニン密度が大きかった.一方,これらの品種に比べて断面係数は約2倍大きいが曲げ応力はコシヒカリ,フジミノリ同様に小さい密陽23号では,グルコース密度,キシロース密度は大きかったがリグニン密度はコシヒカリ,フジミノリと同様に小さかった.実験に用いた7品種について,細胞壁構成単糖密度,リグニン密度それぞれと曲げ応力との偏相関係数を求めた結果,リグニン密度と曲げ応力との間に偏相関係数0.81の高い相関関係が認められた。 以上の結果から、稈の細胞壁構成成分の1つであるリグニンの密度は,倒伏抵抗性と密接に関係する稈の曲げ応力の相違をもたらす主な要因であることが明らかとなった.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大川 泰一郎: "水稲稈基部の曲げ応力に影響する細胞壁構成成分の品種間差異" 日本作物学会紀事. 62. 378-384 (1993)
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[Publications] 大川 泰一郎: "水稲における耐倒伏性に関係する性質の地上部環境条件による変化とその品種間差異" 日本作物学会紀事. 62. 525-533 (1993)
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[Publications] 徐 銀発: "多収性水稲の生理生態的特徴について" 日本作物学会紀事. 62(1). 92-93 (1993)
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[Publications] T.Ookawa: "Relationship between physical characteristics of the culm related to lodging resistance and the cell wall components in paddy rice" XV International Botanical Congress. 15. 526- (1993)