1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05760038
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
阿部 知子 理化学研究所, 植物機能研究室, 研究員 (70201895)
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Keywords | アスパラガス / 不定胚 / 花芽誘導 |
Research Abstract |
食用アスパラガス(Asparagus officinalis L.)の種子をチオカ-バメート系化合物で処理することにより1ケ月のアスパラガス実生約70%に花芽が誘導される。しかしこの現象は、発芽種子の生育状態に大きく依存する傾向が認められた。そこでアスパラガス不定胚培養を試み、不定胚における薬剤の花芽誘導作用について検討した。 アスパラガス(ヒロシマグリーン品種)の雄株を培養に用いた。茎頂部を10mg/Lのアンシミドールを含むMS液体倍地に移植し1ケ月毎に継代培養を行ない、約3ケ月後に多芽集塊を得た。これを2mg/Lの2,4-D(オーキシン類)を含むMS寒天倍地に置床したところ、1ケ月後にEmbryogenic(EC:不定胚形成能力のある培養細胞)の誘導が開始された。2週間毎に継代を行ない2ケ月を経て安定したECが得られた。ECをオーキシン無添加のMS液体倍地で振盪培養したところ、2週間〜2ケ月で不定胚の第一ステージである球状胚が誘導された。次に得られた球状胚は細胞の大きさ(Xmum)によりX<108、108≦X<500、500≦Xの3試験区に分類した後、MS寒天倍地(2.5%の寒天を含む)に置床し、2週間後に不定胚の第二ステージである魚雷胚に発達した。魚雷胚はMS寒天倍地(1%の寒天を含む)に置床し、1ケ月後に再分化個体が確認された。この不定胚分化の各過程でチオカ-バメート系化合物を倍地に添加し花芽形成率を調べた。その結果、適当な発達ステージの不定胚即ち球状ステージで108≦X<500の細胞に薬剤処理を行なえば種子胚同様、幼植物に花芽が誘導されることが証明された。
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