1994 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスプロテアーゼの発見とその性質の解明
Project/Area Number |
05760061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門倉 広 東京大学, 農学部, 助手 (70224558)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / プロテアーゼ |
Research Abstract |
C型肝炎の原因となるC型肝炎ウイルスは、10kbの+鎖RNAウイルスで1つの読み枠から1つの前駆体タンパク質が翻訳されたあと切断を受けて粒子形成に必要な各タンパク質がつくられる。この過程にウイルス自身のプロテアーゼ活性が必須であり、その特異的な阻害剤は治療にきわめて効果的であると期待される。本研究では、C型肝炎ウイルスプロテアーゼの酵素としての性質特にその必須領域、活性残基および基質特異性を明らかにする目的で以下の実験をおこなった。C型肝炎ウイルスと近縁のフラビウイルスではNS3領域のN末端1/3の領域にNS2、NS3間を切断するプロテアーゼ活性が存在することが確認されている。C型肝炎ウイルスの場合にもNS3領域のN末端1/3にキモトリプシン型プロテアーゼと相同性の高い部位が存在しNS2、NS3間には切断点と予想される2個の塩基性アミノ酸と側鎖の小さなアミノ酸残基からなる配列が存在している。そこでウイルスプロテアーゼ活性を検出する目的でNS2、NS3領域をウサギ網状赤血球ライセ-トをもちいた無細胞翻訳系で発現を試みた。また同領域をグルタチオン S-トランスフェラーゼとの融合タンパク質として大腸菌での発現も試みた。その結果いずれの系においても分子量から目的の遺伝子産物と判断できるタンパク質の発現には成功した。しかしフラビウイルスの場合にみられるようなプロテアーゼ活性は今回用いた領域では検出できなかった。宿主シグナルペプチダーゼの関与も考えミクロゾーム画分を加え反応を行ったが切断は見られなかった。現在、用いている領域ではプロテアーゼ活性に不十分であると考え、より広い領域について発現をおこなっている。
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