1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05760067
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
奥村 克純 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30177183)
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Keywords | 蛍光in situハイブリダイゼーション / DNA複製 / MHC / ゲノムの構造 |
Research Abstract |
本研究は動物細胞に導入され、染色体に組み込まれたDNAクローンを蛍光in situ hybridization(FISH)法を用いて検出し、その組み込み部位の決定や増幅の部位と程度、さらに、組み込まれた遺伝子の細胞周期S期における複製の時期等を明らかにすることを目的とした。当初の計画では、ハムスターのジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(dhfr)を導入されたCHO細胞を用いる予定であったが、本酵素の遺伝子のFISHシグナルが検出しにくい等の理由で、まず、本研究の基本となる、FISH法によるDNA複製時期の決定法を詳細に検討した。ヒトMHC領域のDNAクローンを用いて、DNA複製時期の近いクローン間でその複製のタイミングを比較したところ、従来の-DNAだけをラベルしてタイミングを調べる方法では、正確さを欠くことが判明した。そこで二つのDNAクローンを異なる標識を施し、同時に使用して異なるカラーで検出する方法を用い、同一核内での二つのDNAクローンの複製のタイミングを比較するTwo-probe methodによって、この領域のDNA複製の進行過程を検討した。ヒトMHC領域は6番染色体短腕にマップされ、セントロメア側からHLA Class II,Class III,Class Iの順に配列し、Class IIとClass IIIの間にGC含量が変化する領域を含んでいることなど、ゲノムの構造とDNA複製といった観点からも興味深い領域である。本研究で、リンパ芽球細胞においては、Class IIIのTNF領域のDNA複製が検討したクローンの中で最も早く複製し、Class II,IIIの境界領域に近づくに従い、複製時期が遅くなり、さらにClass II側では徐々に早くなることが判明した。また、これらの結果をより正確にするために、核内DNA量を画像解析により算出し、個々の核のS期内でのステージの決定を試み、併せてFISHシグナルパターンとの対応を検討したところ、細胞のステージと、DNA複製のタイミングを同時に判定することができ、Two-probe methodによって得た結果を反映していた。現在、これらの方法を用いて、この領域におけるレプリコンを描き出しつつあるが、一方で、これらの結果は、動物細胞に導入したDNAにも同様に用いることができる方法であり、現在、再度dhfrについて検討中である。
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[Publications] Katsuzumi Okumura: "Detection by Fluorescence in situ Hybridization of the Erythropoietin Gene Introdcucedinto Animal Cells" Animal Cell Tedinology:Basic&APpplined Aspects. 5. 107-113 (1993)
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[Publications] 奥村克純: "FISHによるヒトゲノムの解析-最近の進歩-" 変異原性試験. 2. 217-225 (1993)