1993 Fiscal Year Annual Research Report
クワノメイガおよびスカシノメイガの産卵刺激物質に関する研究
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05760091
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松山 茂 筑波大学, 応用生物化学系, 助手 (30239131)
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Keywords | クワノメイガ / スカシノメイガ / 産卵刺激物質 / ラシンC |
Research Abstract |
桑の害虫である二種の蛾、クワノメイガとスカシノメイガはともに桑を唯一の寄主植物とし、母虫の産卵行動は葉に含まれる産卵刺激物質により初めて起こる。クワノメイガでは、葉で生合成されるファイトアレキシンの一種、モラシンCが産卵刺激物質として機能し、葉が傷つくほど虫害を受けやすくなる"弱り目にたたり目"の関係があることを明らかにした。本年度は二項目を目的として実験を行い、以下に述べる結果を得た 1.スカシノメイガ産卵刺激物質の粗精製と活性成分の所在;葉をアセトンで抽出し、活性を有する抽出物を得た。これを分液操作により、エーテル(以下Et_2Oと略)、酢酸エチル(EtOA_cと略)、ブタノール(B_uOHと略)、水の4画分に分画した。活性は、Et_2O画分で最も強く、EtOA_c、B_uOHの2画分ともEt_2O画分の10分の1の活性を示した。次にEt_2O画分を硅酸カラムに供試し、順次10%Et_2O含有ヘキサン、100%Et_2O、100%メタノールで溶出したところ、50%Et_2O含有ヘキサン溶出部に活性を認めたものの、もとのEt_2O画分と同程度の活性を示した溶出画分はなかった。そこで、各溶出画分を再混合して産卵刺激活性が回復するかどうかを検討している。 2.モラシンC以外のクワノメイガ産卵刺激物質の追跡;1.に述べた分液操作で得た画分をクワノメイガに対して生物試験した結果、Et_2O画分とB_uOH画分に同等の産卵刺激活性を認めた。そこでモラシンCを含有しないB_uOH画分中の活性成分を追跡した。まず、ODSカラムを用いて分画し、50%H_2OH含有メタノール、100%メタノールで順次溶出したところ、100%メタノール画分に活性を認めた。これを再びODSカラムに供試し、順次30%H_2O含有メタノール、100%メタノールで溶出して生物試験したところ、30%H_2O含有メタノール画分が活性を示した。今後、30%H_2O含有メタノール画分中の活性成分を単離することを目的とし、ODSカラムを用いた分取HPLCによる精製を行う。
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